――YAMASHOさんのHIP HOP歴はもともとお父様からの影響でエミネムの『8Mile』(※7)から始まったというお話しをお聞きしましたが(YAMACHIHO HENGE vol.03後半)、エミネム以降のHIP HOP遍歴を教えてください。

※7:『8Mile』:2002年、アメリカの映画。ラッパーのエミネムの半自伝的な作品で、自らが主演。自動車産業が斜陽となったデトロイトを舞台に、貧困にあえぐ青年ジミー(エミネム)がラップバトルで勝ち上がっていくさまを描き、日本でもカリスマ的な人気を誇る作品となった。主題歌は『Lose Yourself』(エミネム)。

🍑「エミネムから始まったので、そのまま50セント(※8)というレジェンドに行って、ダンスを始めてからはR&Bを聴くようになりました。オマリオン(※9)とかクリス・ブラウン(※10)とか。そこでフューチャリングしてたバウ・ワウ(※11)とかリル・ウェイン(※12)にいって、常に海外ラッパーのリアルタイムを追いつつ、父親がZeebraさん(※13)の曲をカラオケで歌ってて、そこから日本語ラップを聴きだしたんですよ。で、『Grateful Days』(※14)に辿り着き、気づけば中学生で、みんながAK-69さん(※15)とかを聴きだしていて、地元のイベントに出ても先輩にラッパーがいたりして、『やっぱりラップかっこいいな』とどんどん掘っていって、その年代の日本語ラップをずっと聴き続けてきたという感じです」

※8:50セント:1976年、アメリカ・NY州生まれ。12歳でドラッグディーラーとして名を馳せるなど幾多の苦難を乗り越え、世界中で評価されるギャングスタ・ラッパーとなる。

※9:オマリオン:1984年、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。2001年、本格派R&Bティーン・アイドル・グループB2Kのフロント・マンとしてデビュー。2005年ソロデビュー。

※10:クリス・ブラウン:1989年、アメリカ・ヴァージニア州生まれ。2005年、16歳でデビュー。JAZZFUNKというダンススタイルを取り入れており、MVやライブで披露。

※11:バウ・ワウ:1987年、アメリカ・オハイオ州生まれ。6歳のときにスヌープ・ドッグのステージで共演したことがきっかけでスヌープから”リル・バウ・ワウ”と命名される。13歳でデビュー。2016年、20億以上を稼いだという彼は29歳でラッパーを引退。

※12:リル・ウェイン:1982年、アメリカ・ルイジアナ州生まれ。14歳でラッパーとしてのキャリアをスタート。2010年リリース『I Am Not A Human Being』は獄中生活を送りながらもリリースし、全米1位を獲得した。

※13:Zeebra:1971年、東京生まれ。キングギドラのフロントマンとして1995年にデビュー。翌年、グループ活動休止後、1997年にソロデビュー。2015年には自身がオーガナイズとメインMCを務めるMCバトル番組『フリースタイルダンジョン」がテレビ朝日で放送開始。2017年、自身の長年の夢でもあったヒップホップ専門ラジオ局「WREP」(YAMACHIHO HENGE vol.01前半でYAMASHOさんがおすすめしてくれたバー&ラウンジを併設)をインターネットラジオとして開局。日本語のラップでの表現を新たな次元へと引き上げた立役者の一人。

※14:『Grateful Days』:ミクスチャー・ロックバンド Dragon Ashが1999年にリリースした5thシングル。ゲストボーカルにZeebraとACOが参加。Zeebraのパートの出だし部分、『俺は東京生まれHIPHOP育ち/悪そうな奴は大体友達』というフレーズはあまりにも有名。

※15:AK-69:1978年愛知県生まれ。2004年より自身のファッションブランド「BAGARCH(バガーチ)」のプロデュースも行っている。