クイーンのフレディ・マーキュリーを演じてオスカーを獲得した『ボヘミアン・ラプソディ』からはや7年。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(21)や『オッペンハイマー』(24)などの大作に出演してきたラミ・マレックが、久々の主演に挑むのが『アマチュア』。
ロバート・リテルの同名小説(日本版タイトル『チャーリー・ヘラーの復讐』)の2度目の映画化で、最初の映画版は出版同年にカナダで製作された。「あの時は、東西冷戦だったから、その社会背景をもとにして描かれたけど、今回のバージョンは現代の状況に照らして、かなり設定が変わってるんだよ」と語る。
「そもそもこの企画は『ボヘミアン・ラプソディ』を撮り終えたくらいのころ、配給会社から“次に何をやりたい?”と連絡があったのがきっかけ。そこで僕が答えたのは“アクション映画”。先方はすごく驚いていたけど、ドラマ『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』のような洗練されたミステリーをベースにして、孤独で周囲から疎外されている主人公が敵と戦う、っていう感じのものをやりたかったんだよね。そしたら、この作品にたどりついたんだ。原作のファンだったからすごく嬉しかったよ。ただ、組合のストライキで撮影が延期されたりして、すごく苦労したんだけどね」
CIAのITスペシャリストだったチャールズが、テロリストによって妻を殺され、その復讐のためにスパイの現場に就こうとする物語。スパイ映画らしく、様々なロケが敢行された。
「僕が演じたチャーリーはこれまでのスパイ・アクション・ヒーローとはかなり違った経歴の持ち主だけど、その分、一般の人に共感してもらえるキャラクターになっているから、みんなには期待してもらいたいな。ただ、ストの影響で狙っていた季節に撮影できなくて、ロケ地を変更せざるをえなかったのは残念だった。例えば、ラトビアで撮る予定だったロシアの一部をイスタンブールで撮影したり。
あ、でもパリはばっちりパリで撮ったから完璧な風景になってる(笑)。じつはストで影響を受けたのは、撮影スケジュールや公開延期だけでなく、スタッフの雇用の問題が一番大きかったんだ。ストの間、彼らが無職になるのを防ぐために、プロデューサーも務めた僕を含めた幹部が彼らに別の仕事を見つけて、誰もこぼれることなくチームを再編成することに尽力したんだ」
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PROFILE
よしひろまさみち
『スウィート』のカルチャーページでもおなじみの映画ライター・編集者