――長く続けてこられてきた声優のお仕事の中で、特に辛かったことはありますか?逆に声優をやっていてよかったと感じた瞬間も教えていただきたいです。

辛いと感じたことはあまりないんですけど、特に初期アニメーションとか、いわゆるアフレコに慣れるまでが難しかったです。僕自身だったらあと1拍2拍空けてから喋りたいんだけども、(アニメーションのキャラクターは)喋ってるしな、みたいな。でもそのニュアンスは残しておきたいから、そのニュアンスを残しつつどうすれば間を短縮できるかなとか。そういうちょっとテクニカルな部分ではあると思うんですけど、そこをフィットさせるまでに苦労しました。

あと、もちろん実写や演劇・朗読劇の方でも、いろんな言葉遣いがあるとは思うんですけど、アニメーションならではの言葉っていうが割とあって、具体的には「貴様」や「なんだと?」とか。僕、生まれてこの方、1度も「貴様」とか「なんだと?」って言ったことがないんですよね(笑)。でも、アニメではしょっちゅう出てくるので、普段使わない言葉に説得力を持たせていくっていうのが、アニメのアフレコを始めた頃は難しいなと思ってましたね。

でもアニメーションは近年特に、軽々と国境を越えていくことが多くて、それは本当に面白いなと思ってます。しかも、字幕を見ながら原音で聞いてくださっている方も多いので、海外旅行に行くと顔バレしたりするんですよ。この間も、身長が2mくらいあるいかついお兄ちゃんに「ケンジロウ!ケンジロウ ツダ!」って声をかけていただいて、口に手を当てて「キャー」みたいな可愛い反応をされているのを見て、すごく嬉しかったです!

――海外の方に直接声をかけられるということは、津田さんのお顔も認知されているということですもんね!

顔バレしてるんだ!って面白かったですね(笑)。

あと、長くアニメーションに携わらせていただいている中で、それこそアニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』という作品も随分長くやらせていただいてるんですけど、子どものころに遊戯王を観ていた方が、現場のスタッフさんとしてたくさんいらっしゃるんですよ。

特に男性スタッフさんでちょっとシャイな方とかだと、スススッて寄ってきて「津田さん、僕デュエリストだったんです!」「ありがとうございます!」みたいな会話があったり。俳優さんやアイドルの方でもそういった方がかなりいらっしゃるので、ご一緒させていただいて「海馬(津田さんが演じられているキャラクター)ですよね?」って声をかけていただいたり、単純に喜んでくださっている方を見るとすごく嬉しいですね。

――今活躍されている方たちはちょうど年代的にアニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』はドンピシャですよね!

そうなんですよ。そうそうたる方々が子ども時代に観てくださっていたりするので、すごく嬉しいです。

津田健次郎