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パリジェンヌ気分が味わえる! 最新恋愛小説案内

パリジェンヌ気分が味わえる! 最新恋愛小説案内

コロナ禍で海外旅行なんて夢のまた夢になってしまった今。せめて気持ちぐらいは憧れの地へ飛ばして、どこにも行けない日常からロマンティックな逃避行はいかが? 今回は、パリを舞台にした最新恋愛小説をご紹介します。

『30年目の待ち合わせ』(エリエット・アベカシス 著、齋藤可津子 訳/早川書房)

まず紹介するのは4月に発売されたばかりの1冊、『30年目の待ち合わせ』。

1989年、パリ、ソルボンヌ大学の事務室の前で、手続きに並んでいた20歳のアメリとヴァンサンは偶然出会った。それぞれの友達とグループで広場やセーヌ河周辺をぶらついたあと、ふたりで抜け出すことになって、お互いの趣味とか育ってきた環境とか、いろんなことを話しても話したりなくて、カフェをはしごして朝方になって……。ふたりの関係はこの日から始まるはずだった。けど、待ち合わせをした日にアメリが遅刻をしたせいですれ違い、ふたりの運命は別々な方向へ動き出すことになり……。

 

パリの街で壮大にすれ違い続けるふたり!

戦後すぐの時代に大ヒットしたという『君の名は』という物語(近年大ヒットしたアニメ映画ではなく)を思い出させる、すれ違い大河ドラマ。スマホのある今の私達にしてみたら、待ち合わせで会えなくてすれ違うなんて、絶対に起こり得ないけど、これはスマホどころかガラケーもなかった時代から始まるストーリー。ふたりは約10年後にまた偶然出会うけれど、そのときにはヴァンサンが既に結婚していて、人生のタイミングが合わない。友達の結婚式にさんざん呼ばれ、結婚に焦って誰でもよくなっちゃうアメリとか、ヒステリックでさみしがりな妻が浮気を繰り返すヴァンサンとか、登場人物を取り巻く状況は、私たちの身近でも起こっていそうなことで、パリでも東京でも人間模様は同じなんですよね。でもその背景に描かれるエッフェル塔やアパルトマンやカフェが、やっぱりパリなのです!


『赤いモレスキンの女』(アントワーヌ・ローラン 著、吉田洋之 訳/新潮社)

次に紹介するのも同じくパリを舞台にした物語で、昨年12月に日本語訳が出版された『赤いモレスキンの女』。こちらは恋愛&ミステリー小説といった趣。

ロールはある晩、自宅アパルトマンの前で強盗に襲われハンドバッグを奪われる。翌朝、ゴミ置き場でその紫色のハンドバッグを見つけたのは、書店主のローランだった。バッグの持ち主を探すべく、身分の分かるものがないかローランはバッグの中身を確認していくが、名前の分かるものはバッグには入っていない。香水、口紅、本、キャンディ……ローランはだんだんとその持ち主のことが気になっていく。特に赤いモレスキンの手帳に書きつけられていた言葉が、彼の心を惹きつける。彼女を見つけ出すために、わずかな痕跡からローランは探偵のような作業を始めるのだが……。

 

見知らぬ女性のバッグの中身に恋をした!

バッグの中身に、持ち主の好みや性格がすごく反映されているのって、特に女性ならよく分かる感覚だと思うけど、この物語の主人公のローランは、顔も年齢も職業もその他のプロフィールも何も知らない女性に、バッグの中身から恋してしまったわけです。学生時代からの親友パスカルという、ローランと正反対の男性が小説の中に出てくるのだけど、そのパスカルは出会い系サイトにはまっていて、ネット上に掲載されているプロフィールで女性を選び、そして出会った女性をフォルダに仕分けしている。パリでもそういう即物的な恋愛が普通になっているんだなと感じると共に、パリにはローランみたいな偶然でロマンティックな出会いがあってほしい!という勝手な幻想が満たされる1冊。


大人の恋愛小説がパリには似合います

『赤いモレスキンの女』の中で印象的なのが「可能性のノスタルジー」というワード。1冊目の『30年目の待ち合わせ』はまさにこの言葉を具体化したストーリーだけど、あのとき出会えなかった(けど、出会っていたら付き合っていたかも)、とか、あのとき付き合えなかった(けど、付き合っていたら結婚していたかも)、とか、そういうギリギリで手に入らなかった可能性は、その後何十年経っても後を引くのかも。

パリって、アラフォー、アラフィフの恋愛模様を描いていても街の雰囲気になじむというか、離婚した相手との間に思春期の子供がいたり、そしてその子供が親の恋愛に助言してくれたりする描写もあったり、大人の洒落た恋愛小説が似合います。

2冊とも、パリの地名が盛りだくさんで、Google Map片手に読めば、パリ気分が味わえること確実。ストーリー以外にも、登場人物の着こなしやインテリア、好きな作家やアーティストなど、ちりばめられたパリジェンヌ的キーワードも要チェック。


●千田あすか
編集・ライター。シンガポール在住経験からのシンガポール情報や、書評などのカルチャー情報をお届けします。インスタグラム @aska_chida



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