ジャケット¥59,400、スカート¥37,400(ヴィヴィアン•ウエストウッド レッドレーベル/ヴィヴィアン•ウエストウッド インフォメーション)、ブーツ¥62,700(ファビオ ルスコーニ/ファビオ ルスコーニ ルミネ有楽町店)、その他スタイリスト私物

―ご家族にとっても、より家で音楽が溢れた幸せな時間だったんですね。
では1曲1曲お聞きします。オープニング曲『ワレワレワ?』はどんな曲?

このアルバムのタイトル「MAGNETIC」=磁石ってSとNでくっつくじゃないですか。SさんとNさんに挟まれてそこに引き寄せられたひとたちが間に入っていくっていう。SさんとNさんと言わず、ワレワレワ誰でしょう?と面白く作りました。

―人と人とが引き寄せられる、このアルバムの全体を流れるテーマですね。次の『MAGNETIC』=磁石も。これは歌手のAIさんとのコラボの曲ですね。

人と会っちゃいけないっていうこの期間に、アルバムを作ろうと思って、いちばん最初に浮かんだのがAIちゃんだったんです。わたしたち二人とも「みんなが幸せになればいい」と願っているアーティストだし、これはもうAIちゃんとやることで意味があると思って、マグネティック=くっついているという意味でAIちゃんにお願いしました。

―ヒップホップグループSANABAGUN.との「井の頭DAYS feat. SANABAGUN.」はどんな曲?

最初にわたしがメロディを作って、SANABAGUN.の皆さんにアレンジをお願いしました。わたしが歌手になりたいと突っ走ってたころは、毎日学校帰りに電車に乗って、下北沢のスタジオに行ってデモテープを作ってたんですよ。ガムシャラにやってるときって、わたしはやれるって自分を信じる強さもあったし、若くて未完成で足りないものだらけだった。未完成なことって美しいし、完璧じゃなくていいよっていうことを自分に言い聞かせながら自分に作った歌詞。
わたしも長く大好きな歌を続けていて、どんどんやればやるほど完璧を求めていっちゃう、でも今回はとにかく楽しみたい、「未完成でいいんだ、未完成でいいんだ」って自分に言い聞かせて、作った曲ですね。

―続いて『ノイズキャンセリング』の「天使が呟けば悪魔も呟いた」、これはSNSのこと…?

当たりです!この曲を作ったのは、自分が落ちてたときですね。この曲を経て、このアルバムができました。だからこの曲はとても大事な曲。自分を正しく導いてくれた曲です。わかってはいたけど、この3年は負のものが多かった。やっぱり負のものに引っ張りこまれていました。いつも自分の心と対話して自分を保つことが大事だって、ずっと言い聞かせていたのに、それすらできなくなっていました。どうしても気持ちが上がってこなくなった瞬間、この歌を書いて。
とにかく自分が思うことをバーッと書き出して、自分だけの心と向き合って、なにが一番幸せか確かめなきゃと何度も思いながら作った曲でした。

―「ありえないかも」はとても可愛い恋の歌。どんな風にこの曲は生まれたのですか?

あるお休みの日、ピアノを弾いていて。洗濯ものを外に出してたのに雨が降ってきて……、そのときに「なんかいい時間だな」と思って作ったんですよね。
男の人がこの曲を聞くと不安になるらしくて。好きなのか好きじゃないのかわかならくて不安になるって。でも女の人が聞くと可愛らしいって言いますね。わたしのなかだと究極のプロポーズくらいの言葉選び。恥ずかしいけれど。

―「短いようで忙しない今日が物足りないようで」というフレーズが心に刺さる「たわいもない」はミュージシャンのiriさんが作詞&作曲を手掛けられた曲。

最初デモが来たときはかっこいいと思いました。戦っている女性のかっこよさ。 「短いようで忙しない今日が物足りないようで」、毎日はその繰り返し。わたしの中では、それでも全てを包み込むのが愛ってことなのかなと思いました。

―2020年の「ZIG ZAG feat. BIM」に続き、ラップにも挑戦されてますね。

ラップはとても難しかったです。低いトーンのラップがとくに。おまじないみたいな言葉が好きで、ラップはそれに近い印象があって好きです。もともとロック、パンクが好きだったけどジャンルを飛び越えての新しい挑戦は楽しいですね。

『ZIG ZAG feat. BIM』

―おまじないみたいな『ABRACADABRA』。「愛し愛されるしあわせと自由を」、とても素敵な歌詞だと思いました。どんなメッセージが込められていますか?

おとぎ話が好きで、このデモを聞いたときもおとぎ話のイメージを湧きました。全然立場の違うふたりが出会ったことによって、自由を与えることができて、愛と強さを与えることができて、今回の「マグネティック」に合ってると思いました。愛ってお互いに与え合うもの=磁石だと思います。

―たんたたんというリズムが可愛い曲『カスタネット』。これはどんなふうに生まれたのですか?

デモが上がってきたときに「カスタネット」という言葉が入ってたんですよ。で「カスタネット」も赤と青じゃないですか。磁石も赤と青、これは運命だと思って。「カスタネット」という言葉を使って書いていったんですけど、ライブで声も出せない時間が続いているなかでこの曲をライブでするときは、カスタネットでグッズを作って、みんなで叩けたらいいなって願いを込めて作った曲でした。曲のテーマ的には、どんなときも自分を褒めてあげて、自分を高めていくというのが大事だなと思うので、どんな日であっても自分が精いっぱい生きてる証拠と思えたらいいなと思って作りました。

―『Color Me feat. マヒトゥー・ザ・ピーポー』は2020年7月、tvk(テレビ神奈川)開局50周年記ソングとして作られた可愛い曲。

マヒトゥーさんとはプライベートでも繋がりがあって。わたしに曲を書いてくれるとなって送られてきた曲だったんですよ。まだ全然スタッフには話をしてない段階だったんですが、うちでカレーを食べてお酒を飲みながら歌詞を書いたりして、だいたい出来上がった頃に、ちょうどtvkさんからも話が来て決まりました。
誰といるかによって心の色がカラフルになっていく、好きな人とどんどん仲良くなってお互い年をとっていこうという歌です。

『Color Me feat.マヒトゥー・ザ・ピーポー』

―最後の曲「S↔N」。この曲はどんなふうに生まれたのですか?

Open Reel Ensembleが歌詞を作ってくれました。最初こんなに歌ものになる予定じゃなかったんですけど出来上がったらこんな感じになってて。でもすごく楽しそうに作ってくれたのでわたしも一生懸命に歌いました。宇宙からのメッセージでしょうね、きっと。(笑)

―2004年にデビューして、2005年には携帯電話のCMソングでオリコン初登場3位となった『リルラ リルハ』リリース。いまでも大好き!という声がたくさん聞かれる曲ですね。2024年に20周年を迎えるにあたり、どんなことをしていきたいですか?

常に1作品1作品、MVも一生懸命、そのときの自分を表せるように作ってきました。すべてがアートなんです。わたしのデビュー当時を知らないひとにもこんなことをやってきたんだよということを伝えたい。個展もやりたいですし、20周年を迎えるにあたって19周年にはたくさん細かくいろんなところに行って、ライブでもいいし、トークイベントでもいいし、みんなにとにかく会いに行って、20周年を迎えることができるというお礼を伝えにいく旅に出たい……旅じゃないかもしれないけど、全国に行きたいなと思っています。

『リルラ リルハ』