10月11日(金)公開の映画『若き見知らぬ者たち』に出演する、磯村勇斗さんと岸井ゆきのさんがスウィートウェブに登場。

本作やそれぞれの役への思いをたっぷりと語っていただきました!

――とんでもなく重厚で、社会への問題提起になる作品でした。役者としてどのように挑んだかを教えてください。

岸井:今まで演じてきた役とは大きく違いました。私が演じた日向は、一人で母親のケアや生活の一切を請け負う彩人のことを全部受け止める一方で、彼女自身がどこかで発散したり表に出すことがないんです。彼のことを受け止め続けて生きているっていう人を演じるのは、初めてのことでした。

私も割と溜め込むタイプではあるんですけど、それ以上のことが日向には起こってしまう。その中で、どれだけ自分が日向の心の奥底に深く潜れるんだろうかっていうことを考えました。自分の心を、役者だからどうっていうところじゃないところまで行けたら、日向を演じられるなって思ったんですよね。

内山監督から、こうするべきだっていう指示はないもあって、脚本を読んで私が感じたことをそのまま芝居に活かすという作業だったので、正直、辛い作業になることは覚悟してました。もちろん監督はすごく寄り添ってくださったんですが、これまでにない経験でしたね。感情を溜め込んで溜め込んで、我慢しなきゃいけなかったので、監督のちょっとした言葉でも、引きずり込まれるような感覚。それを我慢するのって、ほんとに初めての経験だったんです。

そうやって沈みきった気持ちでいても、撮影現場や待機の部屋では皆さんが役の家族の雰囲気を保ってくれていたので、私は遠慮せずに自分の役に集中できたんですよね。私は、この演出を「セラピー」って呼んでいました。

磯村:僕も今回は初めての経験が多かったですね。僕が演じた彩人は前半からずっと沈んだ状態で、ずっと苦しい状態ですから。

でも、総合格闘技で成功を目指している彼の弟・壮平がいるおかげで、彼のメンタルが保たれている。彼にとって壮平が一番の希望なんだなっていうのを、演じているときも感じていたし、完成した作品を見てもそう感じられました。終盤の試合のシーンで、壮平のその拳の強さが表現されているのをみて、救われた気持ちになりましたね。

磯村勇斗