――今回の作品はHYさんの同名の楽曲をモチーフに沖縄と東京を舞台に作られた純愛ラブストーリーですが、この曲についてはどんな印象がありましたか? また、作品に参加して印象が変わった部分はありましたか?

赤楚:学生時代に「366日」が流れていて、教室で失恋したばかりの女のコがこの曲を聴きながら泣いていたのが印象に残っています。僕自身は悲しいときに寄り添ってくれるような曲だなと感じていたのですが、今回の作品を通して聴くとまたちょっと印象が変わって。人を想いすぎるあまりのすれ違いとか、別れとか、ただの失恋というよりも、もっと人の想いとか温かみを感じるようになりましたね。

――温かみというのは『愛する相手が幸せでありますように』という想いでしょうか?

赤楚:恋愛をテーマにした楽曲って、矢印が自分の方向に向いていることが多いと思うんですけど、湊を演じたうえで改めて聞いてみると、矢印の方向が相手の方を向いているんだなって。

――上白石さんはこの曲に対しては?

上白石:私は音楽が大好きなんですけど、自分の人生の場面ごとに流れている音楽って誰しも持っていると思うんです。学生時代、あの曲を聴きながら誰かを想っていたなとか、くじけたときにあの曲を聴いて救われたみたいなことって誰にでもあること。音楽ってそういう記憶とかと紐づいているので「366日」という曲から新しいストーリーが生まれるのも、すごく自然なことだなと感じています。私がこの曲と出会ったのは高校生ぐらいの頃で、私にはまだわからない感情だなって感じていたのですが、この作品で美海を演じる中でわかってくる部分があって。名作の映画やドラマやその中で使われていた曲が愛されるのって、年齢によっていろんな味わい方があったり、その作品や楽曲と一緒に成長していける部分だと思うんですよね。

――確かに、年齢を重ねて自分の置かれている立場が変わってくるにつれて、解釈の仕方がどんどん変わってくることはありますよね。

上白石:この曲も失恋の痛みを歌っているという印象が強かったのですが、改めて聴くと、誰かを想うことの幸せも描かれている曲だなというのを改めて感じました。

 

――中島裕翔さんや玉城ティナさんもこの作品の中で重要な役割を果たしていました。現場での雰囲気などを教えていただきたいです。

赤楚:僕ら2人以外は、それぞれ沖縄と東京の別軸の物語だったよね。琉晴役の中島裕翔君とはどんな感じだったの?

上白石:中島(裕翔)さんは、役や作品に対して本当に熱い方だなって思いました。沖縄愛がめちゃくちゃ強くて、言葉のイントネーションを完璧にマスターしていらっしゃったりとか、カチャーシーを踊る場面でも、動画を見てすごく勉強してきて、地元の方も認めるような美しい踊りを披露されていて。琉晴という役は、中島さんが演じたからこそ生まれたものがたくさんあるなと思います。