Ⅲ 羊と鋼の森(宮下奈都)

羊と鋼の森

北海道の美しい自然と、ピアノの調律師として働く主人公のひたむきな姿が印象的な物語。静かな雪景色の中で、調律の仕事を通じて少しずつ成長していく様子は、穏やかで温かな気持ちにさせてくれます。

この作品のポイント

・“音”を紡ぎだす裏方の仕事である調律師の視点から見た、楽器との対話や微細な調整の大切さ。

・北海道の雪景色が物語と調和し、ゆっくりと流れる“静けさ”と“美しさ”が心を洗ってくれる。

・主人公の内なる葛藤や人との関わりを経て成長していく過程が、読者自身の気持ちに寄り添う。

冬の北海道というだけでもロマンチックなのに、そこで繰り広げられる主人公の真摯な姿勢は、読んでいるこちらも背筋が伸びるような気分になります。ピアノの音色の繊細さが物語と重なり合い、まるで澄んだ空気を吸い込むような感覚に。日々の忙しさを忘れて、ゆるやかな時間を味わうのにぴったりです。