
――追い詰めてくる人たちがいっぱい出てきますが、どのキャラクターが一番印象に残っていますか?
北村「竹原ピストルさんが演じた山田ですね。ピストルさんと僕は2度目の共演で、しかも高校生のころライブに行ったりしていたんです。それで何度もお会いしてるんですけど、ピストルさんってずっと緊張してるんですよね。すごく不揃いな石の階段みたいな空気を持ってる方で、そのテンポ感がうまく表現されるんです。その独特のテンポ感に飲み込まれそうになることがたくさん。しかも山田はクズどころか、クズの煮こごりみたいな男で、悪役なりの正義みたいなのものも何もないのに、中途半端に優しかったりする。圧倒されました」
河合「ごめんなさい。私もピストルさんでした。インパクトがありすぎて大好きになっちゃうキャラクターだし、誰のお芝居も普段の部分現れると思ってるんですけど、まさにそういう方。たとえば美空にカップラーメンをあげる時も、ちゃんとふーふーして渡してあげてるとか。山田はクズな役ではあるんですが、ピストルさんのお芝居で全然嫌いになれないんですよね。私は今回初めてピストルさんとお会いしたんですけど、挨拶のときに『初めまして、竹原ピストルと申します。よろしくお願いします』ってすごい深くお辞儀で挨拶してくださって。普通のことなんですけど、それだけですごくグッときてしまって。挨拶1つで人を引き付けるオーラがある方なんですよ」
――登場する人たちが堕ちるところまで堕ちるって、すごい話ですよね……。
北村「そうですよね(笑)。でもきっと紙一重じゃないですか。誰にでもあるって言ったらおかしいですけど、真面目に生きている人でも、日常は選択の連続ですから間違ってしまうことって必ずあると思います。原作の染井為人さんとお話しした時、観た人がどういう思いを持って帰ってほしいかっていうことをうかがったんです。 この物語は、人生にとってのたったひと夏の話だっただけとおっしゃって、だからちょっと笑えるのかなと思ったんです。僕の人生でもその時は笑えなかったことでも時が経てば笑えることってありましたから。サスペンスエンターテインメントとして消化しているから、大小を問わず人生ってそういう選択の繰り返しだったりもするのかなとは思うんです。 僕自身は選択を間違うことをネガティブに捉えないタイプなので、たとえその選択が自分にとっては間違いでも、誰かにとっては間違いじゃないことだったのかもしれないと、多面的に見たいと思っています。だから、人生が転落したとして、じゃあそこからどうするのっていう話。そのまま腐っちゃうのか、頑張るのか」
河合「それで思い浮かべるのは、今ひっきりなしに報道されている闇バイトですよね。そういうニュースを見たとき、自分はやらないって思ってるけど、すぐそこまで来てるって感じるんです。それも元々ワルじゃない普通の少年少女たちが手を染めているところをみると、人生こんなはずじゃなかったのに、とんでもないことに加担してしまった……っていう現実が、あまりにも日常に近くなり過ぎて心配になります。事件に巻き込まれることは突発的だと思うんですけど、今ある状況は人生の中で起きたいろんなことが重なってきていると思うので、外からの要因だけのせいじゃない。愛美は彼女なりにできることをしてきた結果、 八方塞がりになっているんだと思ってます」
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