――長く演じてきたからこそ改めて感じる、小野さんから見たセバスチャンの魅力を教えてください。

あくまで“執事”なところですね。
最初のシリーズ『黒執事』の第1話で、本当に何の衒いもなくスタイリッシュに「あくまで執事ですから」って言った時は痺れました。

ずっと引き算の美学で演じ続けてきましたが、彼は殊更に自分が前に出ず、そこに存在するだけであくまで執事であるという、唯一無二の存在感があるんですよね。

決してやりすぎない、何も足さない。執事として絶対に主人の前には出ないっていうところがとても潔くて。僕も大人になってそういう存在でありたいなって改めて思います。

 

――アニメの続編が決まった際、SNSでも大きな話題となっており、改めて『黒執事』の人気の凄さを感じましたが、小野さんご自身はどういったところで反響を実感されましたか?

僕はお手紙でファンの皆さんの熱量を如実に感じていて、やっぱり『黒執事』が新作アニメになると発表された時期に来た全てのお手紙がそのことに言及しているくらいの勢いでしたね。

あとは、7年越しに『寄宿学校編』でアニメを制作するってなった時に、誰に1番声をかけてもらったかというと、他のアニメのスタッフさんたちでした。いろんなアニメの現場で「『黒執事』またやるみたいですね!」「続きからやるんですか?」とファンとしての反応をいただけて。

『黒執事』の放送当時に学生だったり、これからアニメの仕事に携わろうとしていたファンの方たちが、今本当にアニメの現場に入ってきてるんですよね。『寄宿学校編』でP4を演じていた渡部(俊樹)くんたちも、やっぱり『黒執事』を通った上で声優になっているんですよ。他にも絵を描く人だったり宣伝の方だったりとか、支えてくれているスタッフさんたちの中に、『黒執事』を通ってきているファンの方たちがいらっしゃるのを、『寄宿学校編』がアニメ化される時に改めて実感しましたね。


――素敵な巡り合わせですね!

ファンの皆さんが喜んでくれること。それがその先で今のアニメ制作に繋がっていることが嬉しかったですね。

小野大輔