誰しもが10代のころに必ず通るような
心の揺らぎや心情が濃密かつ繊細に描かれた作品

齋藤飛鳥連載
ワンピース ¥75,900(リブ ノブヒコ/ハルミ ショールーム)、リング ¥24,200(ete)

「今回の企画を進めていくなかで、まず一番に思いついたのがこの本でした。ストーリーや描写がすごく記憶に残っていて、写真で世界観を表現したらすごく素敵なんだろうなと自信がありました。まさに、連載第1回目に相応しいな、と感じた作品です。

10代のあのころに必ず誰もが経験するような心の揺らぎや、細かくて人に言うまでもない感情や気持ちの変化がすごく丁寧に描かれていて、登場人物それぞれの心情に「分かる、分かる」と納得。

4章からなるこのストーリーのなかでも、主人公のひとりで写真家の父を持つ奔放な高校生・朱里と内部進学生・希代子との関係を描く第1章「フォーゲットミー、ノットブルー」が一番印象的でした。ここでは希代子の感情が軸となりストーリーが展開されていきますが、憧れからの嫉妬、そして相手の心に傷を負わせるような複雑な心情が丁寧に描かれています。

大人になった今だからこそ、可愛らしいと感じつつもその閉鎖的な空間で起こりうる優劣感情や微妙な関係性に納得せざるを得ません。分からない感情がひとつも出てこないし、作者がなぜこんなに色々なタイプの女のコの気持ちを繊細に描けるのか不思議で感動しました。

このページで表現したのは、成長した彼女達の新たな気づき。ひとりが辛く感じた「終点」は、もうひとりにとっては新たな始まりに過ぎず、その未来を予感させるようなシーンをイメージしました。

今26歳の私からしたら、登場人物のどのキャラクターも可愛いと思えるけれど、もし実際にクラスメートや乃木坂46のメンバーとして一緒に活動をすると考えたら……、同じ感情ではいられないんだろうな、と想像します。」