結果に当てはめる診断ツールとは違って、自分を「発見できる」

「セキララカード」に向き合う中で、親しい人との対話と同じくらい、自分との対話を行うことの大切さに気付かされたという藤原さん。そして、親しい人と対話するためには、まずそれぞれが自己対話できていることが理想的だといいます。

「対話型のカードを使う時、中には自分のことを相手に知ってもらうことを喜びとは思えない、という方もいらっしゃると思います。他人にシェアしたいことの領域はそれぞれ異なると思うので、その上でその人とどんな風に付き合っていくのかを考える必要もあると思います。

海外では『私その質問はNGだよ』とはっきり言ってくれる人も多いのですが、自己対話に慣れていない人だと、どこからが自分のNG範囲なのかが分からないこともあるでしょう。だからこそ、対話型カードと自己対話型カード、それぞれを行き来しながら行ってみるのもおすすめです」

カードの使い方は「基本的に自由」。一気に全ての質問に答える必要もなく、自分や相手の体力を優先しながら“1日1枚”のペースで進めるのもOKです。

「価値観や気持ちはその時の環境によっても変わるので、数カ月、数年に一度でも、カードと向き合う習慣をつけていただくと、自分の中に生まれた変化にも気づくことができます。絶対に変わらない価値観と、今の自分だからこそ感じることの違いが分かると、はっとすることもあると思います。私自身もそうですが、自分の中で思い込んでしまっている部分もあると思うんですね」

恋愛ってこういうものだ、私ってこんなものだ。思い込みが自分にブレーキをかけ、ストレスを生むことも往々にしてあるもの。たとえば、日本で流行しがちな診断ツールも、自分を型にはめることで自身の可能性を諦めさせることを助長している側面もある、と藤原さん。

「診断ツールの質問は、基本的にはい・いいえで選択させられますし、やればやるほど、自分がどういう人間かを自分で考えることを諦めてしまうようになります。血液型や星座、MBTIだけでは測れない自分らしさは、押し込められて誰にも分かってもらえなくなってしまう」

型にはめ込む診断ツールが流行する日本で、質問に対して自由回答する「セキララカード」を作ったのは、藤原さんなりの挑戦です。

誰かが作った型や枠にはめ込むのでなく、あなたがどうしたいかを、私は聞きたいです。セキララカードと向き合っていくと、自分のことを素直に捉えられた自分に、自信がついていくはずです。これまで聞かれる機会がなかったから考えたことがなかっただけ。質問に答えていくと、何にでも答えられるような気がしてくると思います」

答えられない質問は、いったん飛ばしてみるのももちろんOK。1カ月後、3カ月後にもう一度カードと向き合った時には、答えられる自分になっている可能性もあります。

「自己対話型カードも対話型カードも、自分や相手のことを好きになるといった“自己啓発”のためのプロダクトではありません。好きなことだけでなく、嫌なことが何なのかも分かっていくのが、カードの長所です」

何かを好きな自分も、嫌いなものやできないことがある自分も、同じ自分。そんな「自分なりの発見」があれば、世間や他人が決めた型に従うだけではなく、自分らしい人生の歩み方や、恋人との関わり方も見えてくるでしょう。

自分のことは、分かっているようで分かっていないという人が大半なはず。「私は大丈夫」、そう思っている人にこそ、セキララカードと自分との向き合いが必要なのかもしれません。