――読者のイメージはありました?

あの「本を読まない人や、哲学とか難しいことをあんまり理解しない人とか。ぼくがそうなんですけど、そういう人が読むきっかけになるといいなみたいな感じで書いていました。自分自身、書き方もわかんないし、本も数えられるくらいしか読んだことないので」

――本ができあがってみて、改めてどう思ってますか?

あの「書き終えて……うん、あんま読んでほしくない、思っちゃいます。
書く前は書きたいって思ったけど、書き終わってみると読まれたくなくな、って。でも、それも予感はしてたというか、大事なこともかけたのかなって思いました。自伝ではないし、もちろん書いてないこともたくさんあるんですけど、日頃相談を受けたりとかが多かったので、これ読んでもらって、ちょっと、ぼくが回答する代わりになったらとかも思ったり。
ぼくは本を読むことがあんまなかったんですよ。でも読んだことは多少あって、例えば愛についての本とかも読んだことあったけど、何もわからなかったり、とか。別にそれを基準に生きてるわけじゃなくて、それでいいんだなって思ってるし。だからこれを読んだからって自分の人生の道しるべにしよう、なんて思わなくていいというとこが大前提。その上で、みんながどう思うか、とか、私もこう思う、とか。ぼくの歌詞では結構言われるんですけど、それを超えてやっぱりこの言葉を心に宿わせて、道を迷った時に道しるべにしていくということも、いいと思う。どんな意見もきっと嬉しいと思うし、気になりはしますね。
けど、あんま読んでほしくない。結局、自分にとっては当たり前なことだったり、当然なことを書いてるから。でもそれをあえて書くっていうことにしたので、改めてそれを読まれるっていうのは、ちょっと恥ずかしい。誰かの当たり前がぼくにとっての当たり前じゃないというのもあるし、だからこそ、ぼくの当たり前がみんなにとっての当たり前じゃなかったりしたら、新たな思考や環境が生まれる可能性もあると思う。そういうちっちゃな可能性があるなら、うれしいですね」