映画館で見るべき! sweetがオススメする最新ムービー4選をお届けします。インスピレーションで選んでみてね。


『リコリス・ピザ』

こだわり監督P・T・アンダーソンが再現した70年代アメリカを舞台に描くもどかしい恋。

となれば音楽やファッションをはじめ、S・ペンやB・クーパーが扮した実在の有名人達の登場など、カルチャーネタが満載なのはお約束で、リピート鑑賞必至。名優フィリップ・シーモア・ホフマンの息子クーパーが演じる少年とミュージシャンのA・ハイムが魅惑的に演じる年上女性の嫉妬合戦も愉快。

© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

story:1970年代、ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー。15歳のゲイリー(C・ホフマン)は一目惚れした10歳年上のアラナ(A・ハイム)に熱烈アプローチ。

最初はそっけない態度をとっていた彼女も、エネルギッシュな彼の魅力に惹かれ始めるが……。

監督:ポール・トーマス・アンダーソン/出演:アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、ブラッドリー・クーパー ほか/配給:ビターズ・エンド、パルコ/公開:7月1日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー


『三姉妹』

問題を抱えつつも“大丈夫”を装って暮らす三姉妹の“心の再生”を描く人間ドラマ。

元夫の借金まで返済する長女の卑屈さ、教会活動に熱心な次女の頑なさ、そして酒浸りの三女の無作法にイライラが募る前半。

しかし、父の誕生日に三姉妹が揃ったところから閉塞感を一気にぶち破る展開は、新鮮な空気がからだ中にめぐる感覚。

三様のトラウマを演じた女優達が、韓国内の賞を多数受賞したのも納得だ。

© 2020 Studio Up. All rights reserved.

story:花店を営みながら反抗的な娘と暮らす長女ヒスク(K・ソニョン)、夫の裏切りを知る熱心な信徒の次女ミヨン(M・ソリ)、スランプ真っ只中の劇作家の三女ミオク(J・ユンジュ)。

父親の誕生日を祝うために帰省した3人は、暴力的な過去を思い出し……。

監督:イ・スンウォン/出演:ムン・ソリ、キム・ソニョン、チャン・ユンジュ ほか/配給:ザジフィルムズ/公開:6月17日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー


『義足のボクサー GENSAN PUNCH』

カンヌ国際映画祭で受賞歴のあるフィリピンの社会派B・メンドーサ監督の新作は、義足のため日本でプロの夢を絶たれた男がフィリピンでプロボクサーを目指す実話。

南国の熱気とカオスをBGMに台本なしで撮影され、説明なしに画で魅せる映像。生の空気感あふれるタッチに、ドキュメンタリーとの境界が分からなくなり存分に惑わされる。

リアルな緊張感と闘志が炸裂するファイトシーンは没入必至。

© 2022「義足のボクサー GENSAN PUNCH」製作委員会

story:沖縄で母(南果歩)と暮らす津山尚生(尚玄)は、幼少期に右膝下を失った義足のボクサー。

身体条件の規定で日本ボクシング委員会にプロライセンスを却下された尚生は、プロになるべくフィリピンへ渡り、トレーニングを始めるが……。

監督:ブリランテ・メンドーサ/出演:尚玄、ロニー・ラザロ、ビューティー・ゴンザレス、南果歩 ほか/配給:彩プロ/公開:TOHOシネマズ 日比谷ほか、全国ロードショー中


『FLEE フリー』

祖国からの脱出を語る難民の青年や周囲の登場人物の安全を守るためにあえてアニメ制作された、新しい形のドキュメンタリー。

難民をめぐる恐ろしい現実、祖国を逃れ生きるため奮闘する人々の過酷な日々、ゲイである青年が、過去のトラウマと向き合うさまが描かれる。

壮絶な物語には、作り話にはない強烈なリアル感があり、激しく心を揺さぶられる。徐々に秘密が明かされていくミステリアスな構成も秀逸。

© Final Cut for Real ApS, Sun Creature Studio, Vivement Lundi!, Mostfilm, Mer Film ARTE
France, Copenhagen Film Fund, Ryot Films, Vice Studios, VPRO 2021 All rights reserved

story:アフガニスタンで生まれ育ったアミンは、幼いころ、父が当局に連行され、残った家族と命がけで祖国を脱出。

やがて家族と離れ離れになり、ひとりでデンマークへ亡命した彼は、恋人と結婚しようとしていた。だが、彼には抱え続けていた秘密があった。

製作総指揮:リズ・アーメッド ほか/監督:ヨナス・ポヘール・ラスムセン/配給:トランスフォーマー/公開:新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン 池袋ほか全国順次ロードショー中

text_YUKO KANEKO, HAZUKI TOGO
web edit_KAREN MIYAZAKI[SWEET WEB]
※記事の内容はsweet2022年7月号のものになります
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