Timothée
Chalamet
ティモシー・シャラメ
Timothée Chalamet 1995年12月27日、NY生まれ。『ステイ・コネクテッド つながりたい僕らの世界』(14)でスクリーンデビュー。『君の名前で僕を呼
んで』(17)で映画賞を席巻。
BL界隈と欧州映画ファンの間で萌えに萌えた『君の名前で僕を呼んで』で大ブレイクしたおティモこと、ティモシー・シャラメ。
文句なしの王子様ルックに、自分でスタイリングしているというスーパーおしゃれなコーデ、とZ世代のファッションリーダーを突っ走っている彼が、衝撃の新作に出演。それが『ボーンズ アンド オール』。日本ではあるシーンを理由にR18+指定の大人向け映画になってしまった問題作です(でも、該当シーンは言うほど過激じゃない)。
「これはラブ・ストーリーなんだよ。マレンという少女が成長し、初恋を経験するという物語。ただ、マレンと僕が演じたリーは、人を食べずにはいられないという特殊設定なだけ。その設定によって、一般的な社会システムからは孤立した存在になった人々を表現しているんだ。この物語を作っていたのは、コロナ禍のピークで、世界中の誰しもが自分が孤立していることを感じざるをえなかったとき。コミュニティに頼ることができなくなった現実があったからこそ、この突飛な設定でも説得力があるストーリーになると思ったんだ」
リーは主人公マレンが旅の道中で出会った、2人目の人食い。じつはその前に出会った1人目が大問題だっただけに、どこか物憂げな青年リーとは一気に打ち解ける。
「リーに惹かれたのは、彼が繊細なガラスの城のようなものを自分の周りに作っていたから。つまり、人を食べたい、という衝動に駆られても、自分が社会に生き残るためにはどういう手順をふめばいいか理解しているんだよ。それが服や髪の色で表現されているんだ。最大の弱点が真実の愛、優しさや思いやりというのもいいよね。それまで孤独に生きてきたから彼だから、そこが弱点になってるんだよ」
人を食べる、というとめちゃホラーに聞こえるけど、直接的なシーンはちょびっと。むしろ、そんな意味不明な欲求を抱えたことで孤立しているリーとマレンが愛おしくすら見えてくるんです。
「そう。この映画のテーマは“愛の不可能性”なんだ。人を食べたい欲求にかられる人、というのは、いわゆる比喩でしかない。僕が考えるに、それは幼少期のトラウマや、何かの依存症、あるいは振り払いたいのにどうしても振り払えないことを抱えたかたじけなさ、みたいなもの。いわば人の人生における“魔”の部分を比喩しているんだ。人生には、負わなくてもいいはずの重荷がしばしばあるけど、愛という安全をもたらす空間の中で、それを乗り越えることもできるということも伝えていると思うよ」
『ボーンズ アンド オール』
story:人を食べたくなる衝動をおさえきれないマレン(T・ラッセル)は、同級生を傷つけてしまい父と共に夜逃げ。ところがその父も彼女を捨てて蒸発する。彼女は一人、あてどない旅に出るが、その道中でリー(T・シャラメ)と出会い……。
監督:ルカ・グァダニーノ/出演:テイラー・ラッセル、ティモシー・シャラメ、マーク・ライランス、マイケル・スタールバーグ ほか/配給:ワーナー・ブラザース映画/公開:2月17日より全国ロードショー(R18+)
© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.
■ライター プロフィール
よしひろまさみち
『スウィート』のカルチャーページでもおなじみの映画ライター・編集者。日本テレビ系『スッキリ』ではレギュラーで映画紹介を務める。