Brad Pitt

ブラッド・ピット

Brad Pitt 1963年12月18日、オクラホマ州生まれ。1992年の『リバー・ランズ・スルー・イット』で注目を浴び、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)以降はハリウッドの大スターの仲間入り。01年から自身の制作会社プランBエンターテインメントの代表として後進を育てる。

なんやかんや言っても、ハリウッドの大スターといえばブラピことブラッド・ピット。

昨年は『ブレット・トレイン』で来日し、新幹線をチャーターしてのプロモーションで話題を呼ぶなど、日本での知名度はピカイチ。そんなブラピ様、1920年代を舞台にした最新出演作の『バビロン』では、サイレント映画の大スター、ジャックを熱演しております。

「ジャック・コンラッドという男は、まさに僕が今仕事している業界のトップに君臨するという役。だからこそ、僕はこの映画業界にいてよかったと思ったんだよ。

なんせ、自分が今いる業界の話だから、それほどリサーチすることもないし、自然でいることができたからね。困ったのは、サイレント映画の演技だったんだ」

ジャックはサイレント映画で多くのヒット作を持ち、業界では一目置かれる存在。そんな彼が、夜な夜なパーティで浴びるように酒を飲み、二日酔い……というよりも酔っ払ったまま超大作の撮影に挑むというシーンが冒頭部分に。

サイレントだから雑音を気にせず、モノクロ映像だから顔色も気にせず。芝居だけすればいいから、酔っ払っていてもできることだけど……なぜ?

「あのシーン、僕の芝居自体は1分くらいのものなんだけど、本当にやったことがない経験だったんだよ。

サイレント映画では、自分の自然な演技ではなく、よりオーバーに、大きい芝居をしないといけないものなんだよ。だから、いつも通りの劇中劇、というわけにはいかなかったんだよね」

現代のスーパースターが過去&架空のスーパースターを演じるってだけでも、観ている側はワクワク。きっと共感することもあったのでは?

「そうでもないんだ。むしろ、この映画で共感できたのは、作品で描かれているテーマだね。それは映画愛。映画製作に携わる者はみなストーリーテラーだと思うんだけど、その一部になれたことが一番の共感であり、幸せだった。

しかも、これは映画業界最初の黄金期が舞台。僕らよりも前に生きて、物語を紡いだ大勢の人々がいること、そして僕ら今の業界人がそのタイムラインの一瞬に関わり、さらに流れは続いて僕らの後の世代の人々につながっていく。

映画界のコミュニティそのもののストーリーを語るこの作品は、本当にやり甲斐があったよ。自分も芸術の一部なんだ、ということを思い出させてくれた」




『バビロン』
story:1920年代。映画界が大フィーバーしているハリウッドで、なんとか映画産業に食い込もうとやってきたマニー(D・カルバ)は、あるパーティで俳優の卵ネリー(M・ロビー)と大スターのジャック(B・ピット)に出会う。やがて、マニーはジャックの付き人になり、ネリーは一気に人気俳優に。ところが、サイレントの時代が終わるとともに彼らの人生は大きく変わっていく。
監督:デイミアン・チャゼル/出演:ディエゴ・カルバ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、トビー・マグワイア、オリヴィア・ワイルド ほか/配給:東和ピクチャーズ/公開:2月10日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

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■ライター プロフィール
よしひろまさみち
よしひろまさみちさん/Profile

『スウィート』のカルチャーページでもおなじみの映画ライター・編集者。日本テレビ系『スッキリ』ではレギュラーで映画紹介を務める。

text_MASAMICHI YOSHIHIRO
web edit_KAREN MIYAZAKI[SWEETWEB]
※記事の内容はsweet2023年3月号のものになります
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