【This Month’s 4 Movies】
今月要チェックの映画を4本ご紹介! 写真を見てインスピレーションで選んでみてね。
『生きる/LIVING』
ひたすら地道に生きてきた主人公が余命宣告を受けて、人生の意義を問いかける……。
黒澤明監督の不朽の名作『生きる』(52)をノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本でリメイクと聞けば、“難しいかも?”と敬遠しがちだけど、ご安心を。
オリジナルの構成を残しつつ、淡いロマンスなどウェルメイドな味つけをした新作は、誰の心にも響く仕上がり。寡黙で無骨な主人公を演じたB・ナイが出色!
story:1953年、第二次世界大戦後のロンドン。部下や家族に煙たがられる堅物の公務員ウィリアムズ(B・ナイ)は、孤独だった。しかし、ガンに冒されて余命半年と知ったことから人生を見直し、残された時間を意義あるものにしようと歩み始める。
監督:オリヴァー・ハーマナス/出演:ビル・ナイ、エイミー・ルー・ウッド、アレックス・シャープ ほか/配給:東宝/公開:3月31日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
© Number 9 Films Living Limited
『オットーという男』
スウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』(15)をT・ハンクス主演でリメイク。
陽気な隣人家族に翻弄されて心を開いていく頑固ジジイをシリアスにコミカルに演じる絶妙なバランスは、ハンクスならでは。
最愛の妻と過ごした過去と孤独な現実を交錯させる演出に涙しながらも、たどり着く幸せな光景に癒やされるばかり。長い“おうち時間“を過ごしてコミュニティの大切さを知った今だから、より共感できる一作。
story:嫌われ者オットー(T・ハンクス)は、妻を亡くして孤独な人生にピリオドを打とうと何回も試みるが、そのたびに向かいに越してきた人懐っこい家族に邪魔をされて失敗。やがて、そんな迷惑家族が彼の人生を変えていくことになるとは!?
監督:マーク・フォースター/出演:トム・ハンクス、マリアナ・トレビーニョ ほか/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/公開:現在、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー中
『エッフェル塔~創造者の愛~』
設計者ギュスターヴ・エッフェルが挑んだパリのシンボル“エッフェル塔”建設の秘話。
伝記物ではあるが、彼と過去の恋人との秘めた純愛物語というドラマチックで感動的なフィクションが加えられ、キラキラと異彩を放っている。
主人公を演じるR・デュリスの渋い熱演と、ヒロイン、E・マッキーの魅惑がまぶしい。パリを象徴する建造物が、竣工時は反対された“大炎上”案件だったという事実には驚き。
story:NYの自由の女神像制作者として名声を獲得していたギュスターヴ・エッフェル(R・デュリス)は、記者の友人の妻アドリエンヌ(E・マッキー)のすすめで万博のモニュメントを造ると宣言する。実は2人は、若いころに熱烈な恋に落ちた仲だった。
監督:マルタン・ブルブロン/出演:出演:ロマン・デュリス、エマ・マッキー ほか/配給:キノフィルムズ/公開:現在、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国ロードショー中
© 2021 VVZ Production Pathé Films Constantin Film Produktion M6 Films
『The Son/息子』
成功者の父親と心の病を抱える息子の愛と確執の物語。
仕事も家庭も完璧だが、じつは父との関係にトラウマを持つ父親を、H・ジャックマンが業深く演じる。罪悪感、恥、体裁などがうごめく中で起こる、父から息子へのプレッシャーの応酬は痛々しくリアル。
横暴な祖父を演じるA・ホプキンスの印象は鮮烈で、世代に引き継がれる負の連鎖を物語る。容赦ないラストも含め、演出に戯曲的な上品さを持つ作品。
story:再婚した妻(V・カービー)と子どもと幸せな日々を送る一流弁護士のピーター(H・ジャックマン)は、前妻のケイト(L・ダーン)と同居している17歳の息子ニコラスから、父のもとへ引っ越したいと懇願される。彼は、心の病を抱え不登校を続けていた。
監督・脚本・原作戯曲・製作:フロリアン・ゼレール/出演:ヒュー・ジャックマン、ローラ・ダーン、ヴァネッサ・カービー ほか/配給:キノフィルムズ/公開:3月17日より、TOHO シネマズ シャンテほかにて全国ロードショー