【This Month’s 4 Movies】
今月要チェックの映画を4本ご紹介! 写真を見てインスピレーションで選んでみてね。
『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』
フランスで著名人&有名人・人気ランキング2位に輝く女性政治家の伝記。
人気の理由は、中絶法実現をはじめ男性議員達と熾烈な戦いを繰り広げ、フランスの理念=自由・平等・友愛を貫き通してきたから。
『エディット・ピアフ 愛の讃歌』(07)のO・ダアン監督はその偉業を称えるのではなく、ホロコースト体験に苦しみつつも、時代を切り開いてきたひとりの女性の心に寄り添う演出。優しいまなざしが共感を誘う。
story:1974年パリ。シモーヌ・ヴェイユ(E・ジルベルスタイン)は、男性議員ばかりの国会で中絶法の可決を実現させ、79年には「女性権利委員会」を設置。その不屈の意志は、16歳でアウシュビッツ収容所に送られた過去の体験が培ったものだった。
監督:オリヴィエ・ダアン/出演:エルザ・ジルベルスタイン、レベッカ・マルデール、オリヴィエ・グルメ ほか/配給:アット・エンタテインメント/公開:7月28日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
©2020-MARVELOUS PRODUCTIONS-FRANCE 2 CINEMA-FRANCE 3 CINEMA
『サントメール ある被告』
生後15カ月の娘を海岸に置き去りにして死なせた女性の実話をベースにした裁判劇。
被告自身が“自分の行動”を言葉で説明できない矛盾と混沌に満ちた状況を、実際の裁判記録を使ったセリフをちりばめて、感覚的に想起させる演出が巧み。
ドキュメンタリー出身の監督らしい緊張感にもヒリヒリ。人種、性別、階級などを描く中で強く心に残るのは、子どもに尽くす母性愛を盲信する“母性神話”への問いかけ。女性必見!
story:女性作家ラマ(K・カガメ)は、次作執筆のために裁判を傍聴した。被告人のセネガル人留学生ロランス(G・マランダ)は、15カ月の娘を海辺に置き去りにして殺人罪に問われている。が、彼女は「私に責任があると思えません」と、無罪を主張する。
監督:アリス・ディオップ/出演:カイジ・カガメ、ガスラジー・マランダ、ロベール・カンタレラ ほか/配給:トランスフォーマー/公開:7月14日より、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国順次ロードショー
©SRAB FILMS-ARTE FRANCE CINEMA-2022
『インスペクション ここで生きる』
アメリカ海兵隊に志願したゲイの青年が、自らの存在意義を貫こうとする姿を綴るエモーショナルな人間ドラマ。
新鋭監督の実体験をもとにした半自伝的映画であり、教官からの過度なしごき、マイノリティへの偏見など隊内部の実情がリアルに描かれる。
主人公の不屈の信念が意外な結末を導く驚きのストーリー構成、アニマル・コレクティヴによる音楽が斬新。主演を務めた売れっ子俳優、J・ポープの演技は強度大。
story:ゲイであることで母に捨てられ、ホームレス生活を送っていたフレンチ(J・ポープ)は、生きるために海兵隊入隊を志願。厳しい訓練と差別による理不尽な
日々に心が折れそうになりながら、毅然と暴力と憎悪に立ち向かう彼は、周囲の意識を変えていく。
監督・脚本:エレガンス・ブラットン/出演:ジェレミー・ポープ、ガブリエル・ユニオン ほか/配給:ハピネットファントム・スタジオ/公開:8月4日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
©2022 Oorah Productions LLC.All Rights Reserved.
『ジェーンとシャルロット』
2つの時代を彩った希代のシネマ&ファッションアイコン親子である母ジェーン・バーキンと娘シャルロット・ゲンズブールが、カメラを通して対話する。
芸能一家の真実の姿が拝めると興奮するものの、そこには、母娘の間の溝をゆっくり埋めていく自然体で優しい時間が流れる。
ひとつひとつの言葉が、不器用なようで深く心に訴えてくる。自身と母の関係も見つめたくなり、心を温かくする感動のドキュメンタリー。
story:2018年、東京。シャルロット・ゲンズブールは、母ジェーン・バーキンを見つめる撮影を始める。両親の別離後、父の元で成長したシャルロットは、お互いに遠慮があった母娘の関係、3人の異父姉妹のことなど、これまで母に聞きたかったことを問う。
監督・脚本:シャルロット・ゲンズブール/出演:ジェーン・バーキン、シャルロット・ゲンズブール ほか/配給:リアリーライクフィルムズ/公開:8月4日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー