弱いところも強いところも、全部見せ合っているのは意外と女友達なのかもしれない。大の親友である紗栄子さんと作家のLiLyさんが語りあかした深夜のナイショ話を特別にシェア。LiLyさんが紡ぐ言葉に酔いしれて、夜が更けていく一。

All About LOVE

紗栄子
[紗栄子さん]キャミソール ¥100,100、ゴールドスカート ¥93,500、上にはいたスカート ¥78,100、イヤリング ¥41,800(全てN°21/IZA)
[LiLyさん]衣装は全て本人私物

私たちは同じ蠍座で、だから占いをシェアしている。オトナなのに、乙女すぎるかな?

「連日続くオトナスウィートの撮影がハードだってことはわかっていたことだけど、あまりに忙しい日々が続いていたから、いつ一息つけるようになるのかをどうしても知りたかったの。

そしたら、ドンピシャリのタイミングでリリがその答えとなる占いをラインに送ってくれたからビックリしたんだ!」って紗栄子が言う。

水の中を深く潜って泳いでいる時、次の“息継ぎ”がいつできるのかは、なんとなくでも知っておきたい。知れば、自分自身の調節ができるし、また息が吸えるとわかることで頑張れる。

逆を言えば、それをわからずにはもうここから先は泳いでいられない、という限界ポイントも存在する。

「もうダメかもって口に出してしまったら、その瞬間に本当にもう立てなくなりそうで弱音を吐くことさえも怖かったの……」

すべての撮影を終えることができた今だから言えることだけどねって優しい顔をして打ち明けてきた紗栄子に、わかるよって心の中で私は思う。

辛い時は周りにSOSを出すことが大切だってことも知っている。無理をしすぎてはいけないってことも。でも、多少の無理をしないと成し遂げられない仕事というものは実際にあるし、誰かに何かを言えば解決するわけではない場合も少なくない。

そんな時、占いを欲する。
夢見る乙女どころか、
現実を知るオトナだから。

紗栄子

おおまかでもいいから自分の今後の流れが知りたいから。なんとなくでもわかれば、安心できるから。それさえ得られれば、今を頑張る力へとなんとか自分で変換できるから。

今月のスケジュールを出してくれ、ということじゃないのだ。もっと大きなもの。例えば、運勢や運命が“向いている方向”が知りたい。

なんて言うとスピリチュアルすぎると笑われるかもしれないけれど、今わかっている“来週の予定”などでは決して予測できない“今後の流れ”というものは絶対にある。

少しだけ先にある「未来」は、時として軽々と
「今」目の前にある現実を超えてくることがある。

紗栄子

だから、その答えをくれるのはマネージャーではなく占い師。まぁ、正直、予言は当たらなくたって別にいいの。今を頑張る「心の支え」になってくれるのなら十分に感謝なの。

また、いくら同じ星座だからって、私たちの二人の人生が全く同じように進んでいくわけがないってことは知っている。

それでも、全く同じタイミングで「今月の蠍座」の文章を読んで、それぞれの持ち場で同じように“頑張ろう”って思っている同志がいること。その事実にも私たちは癒やされているのだ。

「占いのお礼をリリにラインした時に、次に会った時には特別なキャンドルを使って私がマッサージしてあげるから頑張ってねって言ってくれたでしょう?私、本当にそれを楽しみに撮影を頑張ってきたの……」

まっすぐに私の目を見て紗栄子が続ける。

「だからね、今日、会えて嬉しい。最後にこんなご褒美があってすっごく幸せ。年齢を重ねたことで実感してるの。人の温もりとか優しさとか、こういうことが一番嬉しいんだよなぁって」

心から嬉しそうに微笑む紗栄子があまりにも可愛くて、私の心もフワフワになってゆるゆるとほどけていく。

「疲れは、人を優しくするよね」そう言いながら、私は紗栄子の腕に触れる。キャンドルであたたまった美容液を手にとって、クルクルと紗栄子の腕を滑らせるようにしてマッサージする。華奢な手首に小さな手、だけど長い指の先は少しだけ冷えていた。

「ああ、きもちいい」って目を
細める紗栄子に私は言う。
「女って、いいよねぇ」

紗栄子

「うん。すっごく癒やされる」「だよねぇ。疲れたでしょう?って女性に優しくされて心も身体も癒やされていく男性の気持ちがとってもよくわかる」なんて会話をしながら、紗栄子のことを“なんて可愛いんだろう”って私はまた思っている。

顔も身体も声もだけど、素直で柔らかい内側もまた可愛くって癒やされる。そして、初めて会った時にも同じように思ったこともセットで思い出している。

「私も揉んであげる」って紗栄子が私に優しく触れる。
「ええ、きもちいい!」華奢な指からは想像がつかないくらいにカが強くって「マッサージ上手だね。てか、紗栄子、出会った8年前と比べてすっごく強くなったよね?」って言ったら、「……え、やめてよ。何が?力が?」って紗栄子がちょっとイヤそうな顔をした。

「あ、ううん、心が.」って答えたら、ホッとした様子になった紗栄子を見て私はブッと吹き出して、気づくと私たちはいつものように大笑いの中にいた。

LiLy
作家。81年生まれ。小社『otona MUSE』での連載をまとめた『オトナ白書』など著作多数。お悩み相談SNS「会員制オトナの保健室」をオープンしたばかり。中2の息子&小6の娘の母。
Instagram @LiLyLiLyLiLycom