風間太樹監督が描く青春音楽映画『バジーノイズ』で主演を務めるJO1の川西拓実さんがsweet webに初登場。“ひとりで、音楽だけがあればいい”。そんな音楽一筋の主人公の海野清澄(うみのきよすみ）に向き合うことで、自身の活動や過去を重ね合わせることもあったそう。音楽、そして仲間について感じる想いを伺ってきました。

 －原作を読んだときに、今回演じた清澄と自分が似てる部分があるなと感じたそうですね。どんなところでそう感じましたか？

清澄は周りを遮断して、1人で過ごして、1人が心地よくて、だから1人でいいやって思っている部分が僕の過去を見ているようでした。だって1人が楽だし、1人でいたいし、みたいに思っている時期があったので、最初に原作を読んだときは、昔の僕だなって。今でも1人は好きなんですけどね（笑）。

－映画ではそんな清澄が仲間と出会って少しずつ心を開いていく様子が描かれていました。川西さん自身がそんな昔の自分から変化したきっかけはやっぱりJO1？

まさにそうです。最初は清澄も（桜田ひより演じる）潮のことをちょっと面倒くさそうにしていたのが、まさにデビュー当時の自分。最初は控え室の机で隣の人のお菓子のゴミがこっちまできているだけで、もうちょっとやめてよ……みたいなことも（笑）。小さなところも嫌だなって思ってしまうこともあったのですが、今となってはどこまで来てもなんでも許せちゃう。小さなことで悩まなくなったことが、僕には大きかったなって思います。あと、相談。あまりしないタイプですが、悩みができたら相談できるメンバーがいるだけで、ちょっと気持ちが楽になるのでありがたいです。

それこそ、今回この映画の撮影をしているときに、メンバーからメッセージをもらうこともありました。僕がJO１の現場を抜けて映画の撮影に行くこともあったので、そのときにみんなから頑張ってって言ってもらえると、なんか本当に頑張れたんです。みんなも頑張ってるから自分も頑張ろうって、そう思える場所ですね。

－この映画では一番最初に清澄の世界を破って入ってきたのは潮でしたね。

 僕がJO1になって、その壁を破ってくれたのは（鶴房）汐恩でした。僕はJO1になってからも結構ひとりで過ごしていることが多くって。でも 汐恩が話しかけてくれて、そのおかげで今の自分があるなって感じています。

 －バジ―ノイズに出演する前から、音楽活動に通じる映像作品に出演したいという意向もあったとか。

やっぱり僕はどこまで行っても音楽が大好きなので。映像作品のなかで、目で見る以外の部分からなにかを伝えられること、特に音楽を映画のなかで伝えていくことに興味がありました。元々自分のルーツというか、この世界に興味を持ったきっかけが音楽だったので、映像と音楽の両方を見せることができることってすごく恵まれていて、運がよかったなって。 ありがたいなと思っています。

－川西さんにとって、一言で言うと音楽ってどんな存在ですか。

音楽を聞いて感じることっていろんな感情や役割があると思います。だから難しいのですが、何をするにしても欠かせないもの。 映画はもちろんそうですけど、外を歩いていたら絶対音楽って流れていますし。そういう環境がいいな～って思います。

－それは、今のように音楽でお仕事をする前から日常的に感じていたのですか？

いや、そこまで深くは考えてなかったですね。ただ音楽が好きだってぐらいだったんですけど、いろいろなことに触れて、いろいろなことをやるにつれて、さまざまな感情が芽生えるようになりました。

－この作品に触れたことで変化もありましたか？

だいぶ変わりました。一番思ったのは、本当に正解はないんだなということ。自分が鳴らしたい音だったり、伝えたいこと、 言いたいことをそのまま歌やメロディーに乗せていいんだなって、この作品が思わせてくれました。映画の中で海の音や風の音とか、 鳥の声を録音するシーンがあるんですが、そういう自然から鳴る音って人間が心地いい周波数みたいで、それが本来人間が聞くべき音らしいんですよ。だから今まで僕がいいと思って聞いていたものに対する認識だったり、常識が変わったっていうか。新しい視点に気がつけた作品でした。

－今回の役を通した「音楽をつくる」感覚は、普段の「歌って踊る」とは違うものでしたか？

作るときはすごく地味な作業だと思うんですけど、その中で自分が何を言いたいのかがたくさん出てきて。それを音で表現することでもあるし、もっと素直に、今自分が何を伝えたいのかを考えて、向き合っている時間でもあると思います。それに比べると、 パフォーマンスは考えているというより、本当に楽しんでいるだけ（笑）。だからライブもめちゃくちゃ好きです。やっぱりライブするのが一番楽しい。でも音楽を聴くのも好きだし、どっちも好きですね。けど、ツアーの楽しさに付け加えるなら、 マッサージしてもらえるんですよ！（笑）  マッサージ師さんがツアー中は同行してくれるので、「今日マッサージ受けられる！ やったー！」って考えることもあります。あと、ツアーってやっぱいろんな地方行くじゃないですか。ホテルに泊まるのでそのルームサービスもすごく楽しみにしています。

－色んな楽しさが（笑）。もちろんそれだけではないと思いますが、川西さんにように“好きなことをして生きていく”という感覚は映画のなかでもリアルに描かれていたテーマでもありましたね。

これは本当に難しいですよね。楽しいことをやっているだけなのでってよく言いますけど、その裏で大変なことが起きることもあるし、失敗とか悩みとか、いろいろな感情があります。でも、僕は心からJO1の活動は遊びだと思ってやるって決めているんです。決してふざけてやるとかそういうことではなくて、好きなことをずっとやり続けて、好きなことを仕事にするって、なんでこんなに大変なんだろうなって思うんです。だけど、きっと何事も楽しいだけじゃないので、そういうときにちゃんと自分の心にその気持ちを持っておけば楽しめるかなって。

－最後に、清澄にとっての音楽のように、川西さんにとって絶対欠かせないものをあげるとしたら？

僕もやっぱり音楽かもしれないですね。音楽があると楽しくなりますし、悲しい気持ちも晴れたり、 逆に寂しくもなったり。いろんな感情に出会えて、いろんな自分を見つけることができるのが音楽だと思うので。音楽ですね。物理的にあげるとしたら携帯。これがないとYouTube見られないですから！ お笑いとか、ヒカキンさんとか。ジャンル関係なくリフレッシュしています。

ジャケット ¥83,600、パンツ ¥52,800(共にターク/ジョワイユ)、〈シンヤコズカ〉のベスト ¥35,200、〈ジュスティーヌ クランケ〉のイヤーカフ ¥8,250(共にザ・ウォール ショールーム)、イヤークリップ ¥7,700(ナラティブ・プラトゥーン/ロール)、その他はスタイリスト私物