紗栄子の今考えていること
「大変な状況下でも屈託のない笑顔を見せてくれる被災地域の方たちに、毎回私も励まされています」

現在、芸能人としての活動については、年に2回ほどプロモーション期間を設けて、集中的に取り組むのがここ数年のペース。とはいえ日々の売上やキャッシュフロー、契約ごとなど考えなければいけないことは山のようにあって、目の前のことに100%を注ぎ切るのは難しい。燃え尽きたいと願ったとしても。

「時期によって、日々によって、ボリュームを調整していく感じかな?有事の際は支援活動に振り切って、平常時は経営者としてやるべきことをやって、今回のように芸能に集中する時期があって、子どもたちが長い休みで帰ってくるときは母親になる。

70%くらいのエネルギーを仕事で使い分けつつ、残りの30%で日々のことをやりくりしていく感じ。これは母親になって鍛えられたことなんですよね。

マルチタスクになるし、自分が最優先にはなれないし、何か流動的なことが起きたときに対応していかなければいけない。完全燃焼できる日もたまにはあるけれど、なかなか達成感は得られなくて、モヤモヤとしたグレーの中でいかに自分のご機嫌を取りながら進んでいくかを母親になったことですごく学ばせてもらったんですよね。

私は完璧でありたい主義だから、達成できないことが許せなかったんですよ。自分に対して。でも、そんなことはできないし、子どもが熱を出したらスケジュールも変わるし、みんなに頭を下げながらちょっと早く帰る。常に申し訳ない気持ちを抱えていましたね。

スタッフには、早く帰ってごめんなさい、子どもたちには、早く帰れなくてごめんなさい……うまくいくことがなかったなぁ。子どもって、熱が出ても元気だから、家の中はすぐに散らかるし(笑)。何事もキレイに終わる一日なんてほぼないんですよね。

自分にけっこう厳しいんで、自分に課したことは超えていかないと納得できないし、同じように周りの人に対しても期待しちゃっていたと思うんです。でも、人にはそれぞれのペースがあって、得意不得意もあるし、自分ができることでも人ができるとは限らない。もちろん、その逆もあるしっていうね。

いいこともそうじゃないことも含めて自分の経験で、その経験値から想定ができるようになると、テンパることもないし、いい意味で人に期待もしなくなった。昔と比べて大きく変わった部分だし、年を重ねて楽になった部分でもあります。

わりと直感型ではあるんだけど、直感にコツコツと身につけてきた経験則が加わって、物事の判断力も精度が高まっていると思います」