紗栄子インタビュー
「被災地の牧場も訪れました。動物も人間と同じく被害を受けているので、私に何かできることがあればと常に思っています」

この4年間で、命と直面するような容赦ない瞬間に何度も立ち会ってきた。それは、これからも必ず訪れる。もちろん承知の上で紗栄子は引き受けた。タフな覚悟を持って。

「保護馬の牧場なので、お年寄りのコか若くてもケガや病気を抱えているコしかいないので、お別れも結構早いんですね。保護犬たちも同じなんですけど、それは覚悟して引き受けたんですよ。運よく天寿を全うできるコもいれば、急に亡くなってしまうコもいる。頑張ったけれどお馬さん自身がしんどくなってしまって、『もうゆっくりしようね』と安楽死を選ばなきゃいけないときもある。

馬はからだが大きいから、自分の脚で立てないと心臓のポンプだけでは全身の血液循環ができずにからだが壊死してしまったり、立とうとして倒れたときに死に至るほどの大きなケガにつながってしまうこともある。

1年前、まだ5歳の若いコが牧場にきて、リハビリを頑張っていたけれど、よくなってきた矢先に立てなくなってしまって……。自分の決断が正しかったのか、今も分からないけれど、白黒をつけずにずっと抱えて生きていくつもり。苦しくてキツくて、くじけそうになるけれど、命を預かる限りは覚悟をもって選択していかなきゃいけないなって。

ときには事情があって他で飼えなくなってしまったコを引き取るときもあって、前の飼い主さんにはいつでも会いにきてくださいと伝えます。手放す理由が金銭的な問題だけど、食肉にしないで、どうにか生かしたいからと私のもとに連絡をくれます。託されたからには、お馬さんたちが安全な場所で安心しながら、第二の人生を送ってほしい。

楽しいことばかりじゃないし、人間でも動物でも別れは辛くて悲しいもの。だからこそ一日一日を大切に生きなきゃいけないと教えてもらえる。

終わり方って、自分じゃ選べないし、いつその瞬間が訪れるか分からない。誰だって明日なんて約束されてないから、目の前のことに一生懸命生きなきゃいけないよねって痛感するんです。言葉では分かっているつもりだったけど、動物たちが身をもって教えてくれたこと」