私は何ひとつ変わってないけど、世間の声は少しずつ変わってきた

紗栄子といえば、とにもかくにも一挙一動が注目されてきた。ふと「今って、生きやすいですか?」と尋ねると、「うん、めっちゃ!」と清々しいほどの全肯定。

「年齢的なこともあるでしょうし、あとは人って、ちゃんと見てくれているんだなと思えたことも大きいですね。昔と今を比べて、やっていることの何が違うかというと規模が大きくなっただけ。やっている中身は昔から変わらないのに、前は叩かれていたけど、今はそうじゃない。だから、ある程度長く続けることが大事なんだなと気づけたし、続けていると人は認めてくれるものなんだなと。

同時に、何も変わっていないのになんでこんなに扱いが違うんだろうとイラッとしたこともありますけどね。ネット記事でも、昔は散々呼び捨てしてきたのに、今では紗栄子さん。『さんづけなんてしちゃって…….」と(笑)。

とはいえ、自分の人生で手一杯なので、気にしている暇もなければ、そこで怒ったり、落ち込んだりしてもエネルギーの無駄遣いなんですよね。ただ、信念を持ってやり続けると、その瞬間だけ見るとしんどいこともあるかもしれないけど、状況は変わっていくからあきらめないでほしい。

いつ変わるかは分からないけれど、変わることもあるんだよってことだけは今の私が伝えられること。時代も変わるし、捉えられ方も変わっていく。逆にフィットしていたものがフィットしなくなることもあるから、軽やかでいたいですね。

元々の性格もあるけれど、“囚われる”ことがあまりなくて、人の目とか声に傷つくことはあっても、『自分はこうだから』と軸は常に自分の中にあった。牧場の運営にしても、信念があるからスタッフがついてきてくれたし、応援してくれる人もいる。

新しい挑戦に怖さはまったくなくて、逆にしないほうが後悔してしまいそうで。年齢を重ねると自分も弱っていくし、自分で自分を手に枠にはめてしまって、挑戦自体が難しくなっていく。若いときは若いときで、親の目だったり、大人がそう言ってるから、みんながそうしているからと、その時々で足かせになるものは変わっていくけれど、私はそれを感じて生きてこなかったのが、ネジが外れているというか(笑)、唯一希有な部分だったのかなと思います。

私、こだわりが強そうに思われるんですけど、意外とないんですよね。必要とされた場所で、その役割を一生懸命頑張れるのが強み。だからどこに行こうが、何の仕事をしようが大丈夫というか、楽しんで生きられる自信だけはあるんです。

まさか自分が今、縁もゆかりもなかった栃木県に住民票を置くことになるとは想像もしなかったですし、人生が思いがけない方向に転がってばかり」