――王野は根性がありメンタル面もかなり強いと感じましたが、内田さんご自身はメンタルは強い方ですか?

いやぁ、どうでしょう(笑)。あんまり強いという感じはないです。でも、心がブレないようにしたいと思っています。最初はなかなか難しかったのですが、意識していたら20代後半くらいにはブレが少なくなってきた気がします。

ただ、メンタルっていう言葉が何を表すかにもよりますね。心のブレが動揺しないという意味では良いと思うんですけど、役者って心を動かす仕事なので、どんなことでも感じたり気づいたりするっていう力は失われてはいけないので。見て判断するとか考えて受け入れるとか、そういうのを忘れない。ブレないけど、ちゃんと感じることは忘れないっていうのは大事にしていますね。

 

――本作もそうですが、ハードな展開や生き死にが描かれる作品のときは、どのように気持ちの切り替えをしていますか?

昔はそういうのに引きずられて「しんどいな」っていう瞬間は結構あったんですけど、そこは意識的に切り替えるようにしました。例えば、俯瞰して見るとか。役者なので役にのめり込みもするんですけど、それとは別に第三者的な視点を持つと心に余裕が生まるんですよね。

演じているときは自分自身が役と向き合い、やりきった後は「あのシーンってこうだったんだろうな」とか、第三者的な視点でちょっと離れたところから作品や役を見るようにしています。

それはどんな人でも日常生活で使えると思っていて…。悩んでにっちもさっちも行かないときや、「わーっ」て自身の感情がコントロールできなくなってしまったときなどに、自分とは別の存在、1歩引いたところから見るもう1人の自分っていうのを作ってあげると、感情の整理がしやすくなって何事も切り替えが上手くいくようになると思います。

 

――どんな人にも通じる方法ですね。

仕事で迷ったときとか、日常生活で上手くいかないときに、別の道を探してくれるもう1人の自分がいると選択肢も広がると思います。1歩引いて見ることで、より良い選択に繋がってくる気がしています。

声優の内田雄馬