――監督・撮影・編集を担当された横堀光範監督からは、演じるうえでなにかリクエストはありましたか?

木村「読み合わせの時点では、監督から全体的な方向性のお話をお伺いしつつ、現場がスタートしてからは僕のやりたいようにやらせていただけたと思います。フリーで演技させてもらいつつ、監督の描きたいものと違う場合は、その都度話し合いながら丁寧に作っていけたんじゃないかと思います」

――演じたいようにフリーで……となると、逆に難しかったのではないかと思うのですが?

木村「僕自身は、撮影するシーンごとに感情を整理しながら演技ができたので、逆にありがたかったです。逆に自分が思い描いていた感情と全く違うものをリクエストされてしまったらテンパりそうだなと思っていたので、そういう意味でも、よかったなと思っています」

――演技をしていく中で感情を作りづらかったシーンはありましたか?

木村「作りづらいのとは違うのですが、直己は全体的にあまり感情の起伏がないので、読みづらいキャラクターなんですけれど、最後の最後でやっと自分の気持ちを大切にして一歩踏み出すシーンがあるのですが、そこは、前半と違う感情を見せる必要があって、その気持ちの変化をどう表現するかというところにはこだわりました」

――そのシーンはどのように作り上げていったのでしょうか?

木村「あこ子とのやりとりの中で、感情が変化していくので、渡邉美穂さんが演じる、感情豊かなあこ子に引っ張れながら、演技を組み立てていきました」