北村匠海

──それぞれ演じられた役柄についての第一印象や、ご自身との共通点があれば伺いたいです。

北村「タクヤはどこか浮遊感があって、振り返ったら居なくなってしまうような儚さを纏っている印象です。マモルや梶谷の目の中にタクヤは映ってきたはずなんだけど、本当に捉えきれていたのか分からない存在なのかなって。作中で、ある種、タクヤ一人の世界を体験したことで、掴めそうで掴めない、居るようで居ない彼の雰囲気をより一層感じました」

「僕のマモルへの第一印象は、“強い人”でした。自分の置かれた理不尽な環境や運命に抗おうとしている姿がとてもかっこよくて。タクヤと出会って楽しい人生を知ってからの変化もすごく人間的でいいなと思います。僕自身、理不尽なことに対して敏感で、それを流しておけないような性格なので、マモルに共感できる部分が色々ありました」

綾野「梶谷は、一番生きる実感を与えられた人です。“ここから始まる人”といいますか。この中で一番諦めてはいけない人なんだと思います。本編は130分で、それがつまり梶谷の余命だと思い演じました。彼をとことん生き抜くと考えると、自分自身の共感性というよりかは、梶谷から教えられることが多かったです。梶谷を通して、自分の新しい感覚に気づかせてもらうようで」