『sweet』の映画批評でおなじみのよしひろまさみちさんによるモロモロカルチャーニュース! とかく何かと枠にはめたがる人が多い昨今だけど、人がそれぞれ違うのと同じで、家族も人の数だけそれぞれのかたちがあるし、どこも違うのがいいことなのよね〜。令和の時代になったんだから、家族観もアップデートしないとNE! ということで、今回は家族観をテーマにした映画をご紹介。
【news 1】赤ちゃんは誰の子?ミレニアム世代のLGBT映画
まずは『バオバオ フツウの家族』。子どもが欲しいレズビアンカップルとゲイカップルが手を組んで、妊活をするお話よ。これ、5月に同性婚がOKになったことでも話題の台湾で作られたのが意義深いのよね〜。台湾でもやはり偏見を持つ人もいるから、舞台はロンドンと台湾の2カ所にしているし、LGBTっていうとすぐにゲイものに走りがちな映画界において、レズビアンカップルとゲイカップルの両方を描いているってのも斬新。マイノリティがどういう家族観を持っているか、ってことを学べるわよん。
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『バオバオ フツウの家族』
story:ロンドンで暮らすジョアン(K・ファンルー)とシンディ(E・レイズ)、チャールズ(蔭山征彦)とティム(T・リーユン)の2組の同性カップルは、4人で協力して妊活をスタート。妊活は成功するが、シンディは不安を抱いて台湾に帰国してしまい……。
監督:シエ・グアンチェン
出演:エミー・レイズ、クー・ファンルー、蔭山征彦、ツァイ・リーユンほか
配給:オンリー・ハーツ、GOLD FINGER
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【news 2】少しヘンテコだけど優しい家族愛に溢れた映画
もう一本は『おいしい家族』。東京でブイブイ言わせてる女子がお母さんの三回忌のために帰省したら、父が母になり、しかも新しいパートナー(高校生の娘つき)がいて……っていうお話。これ、監督が作った短編映画がもとになった作品なんだけど、監督曰く「これが私の理想のオアシス」と言ってるとおり、すごく愛に溢れてる作品なの。ほら、実家にたまに帰ったら、親が新しいこと始めて「はぁ?」ってことってあるじゃない。でも、親には親の事情があるわけだし、子どもがとやかく言うのは違うと思うのよね。しかも、この映画では、父の変化に対して町の人々は受け入れているもんだから、主人公の女子、大混乱。気持ちは分かる、うん。設定はエキセントリックかもしれないけど、絶対に共感できるはずよ。
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『おいしい家族』
story:銀座で美容部員をしている橙花(松本穂香)は、母親の三回忌のために実家のある離島へ里帰り。すると、実家には見知らぬ男とその娘が居候しており、おまけに父は母の服を着て生活していた。父は「彼と家族になる」と橙花に告白する。
監督:ふくだももこ
出演:松本穂香、板尾創路、浜野謙太、モトーラ世理奈ほか
配給:日活