【LE JOURNAL AVEC SAEKO】紗栄子の「赤リップとわたし」。
少しずつ、赤リップとわたしの関係が変わってきた。例えば、以前は好きじゃなかった香水の香りが今はすごく心地よく感じたり、学生のころに初めて読んだ小説を今読み返すと感じ方が全然違ったり。わたしにとってそれは赤リップも同じで、さらにもっと気まぐれに変わるものだったりする。夕暮れどきに撮影したパリのアパルトマンで、大好きな赤リップについてわたしなりに考えてみました。
唇をパレットに。運命の赤リップを探して
Tシャツ※2枚セット¥2,700(Hanes/ヘインズブランズ ジャパン)
赤リップは、自分にとっての特別な1本があったら素敵だなって思っていたときもあったけれど、今はその時々で似合う赤を楽しむように変わってきた。
毎シーズンたくさんの新色が出てくるし、トレンドの服も変わるので、そのときの自分に合った赤リップを1本だけと決めつけないで数本持っておく。今でもバッグや車の中には3〜4本の赤リップを常備していて、茶系の赤、黒っぽい赤、色んな赤が好き。
塗ってみて、その日の顔色や気分としっくりこないときは混ぜたり重ねたり。きっと周りから見たら違いが分からないくらい微妙な差でも、自分なりのこだわりを楽しんでいる。
ネイルでもそれは言えて、いつも同じシアーホワイトだと思われているけれど、実は毎回色の配分を数パーセント変えたりして(笑)。自分だけにしか分からないし、完全に自己満足。でも、そのこだわりが自分にとってすごく気持ちいい。
だからリップの赤も思い切りこだわってしまう。持っている赤がその日の気分にすとんと合わなかったら、唇というパレットの上で混ぜていく。
でもこれは、20代前半にハマったM・A・Cのリップがきっかけで身につけたテクニックで、すごく好きで毎日つけていたけれど、肌を少し日焼けしたら似合わなくなってしまい思いついたこと。
デニム¥15,800(MOUSSY/バロックジャパンリミテッド
赤リップは色だけじゃなく、ラインも大事。撮影でたくさんのメイクさんにリップを塗ってもらうことで、色んなラインがあるのを見てきて気づけたこと。
少しずつ自分が好きなリップラインが分かってきたし、ラインってメイクさんによって全然違う。リップのツヤや肌の質感によっても求めるラインが変わっていく。ミリ単位のことだけれど、仕上がりが俄然変わる。
昔より今のほうが、メイクのそんな些細な違いを楽しめる自分がいて、リップラインだけでもこんなに変わるのに、それに気づかないでメイクしてもらっていたことが、すごくもったいないなって気づいたのがここ2〜3年のこと。
ベストなリップラインが引けると色っぽい顔になって、女としての自信がつく。大事な撮影のときに最高のラインで赤リップを塗れたら、それだけで背骨が3本くらい増えたような気分になって背筋が伸びる(笑)。キレイな女性でいたいって努力している自分を肯定してあげられるタイミング。
自分の年齢や環境に前向きになれないときだってもちろんあるけれど、「ああ、前を向いていいんだ」って思える瞬間。大人の自分でいられて、本当の自分でもいられる。そんな力が赤リップにはあると思う。
だからみんなにも自分に似合う赤リップの塗り方を知ってほしいなって。特に私と同世代! だってすごく変わるし、やっと似合う年齢になってきたと思うから! 私は人生で今が一番赤リップが楽しいって思う。
3色の赤で3つの顔に
今回の撮影で使用したのは、それぞれの女性像で選んだ3色。ファム・ファタールな深紅、ブラウン系レッド、オレンジがかった赤をセレクト。プライベートでは茶系の赤も好き!