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「30までにと “自分の声が” うるさくて」by LiLy  sweet限定の”アラサー”エッセイ連載 #06「やっぱりこれくらいはいると思うんです(婚活:年収二千万)」

「30までにと “自分の声が” うるさくて」by LiLy sweet限定の”アラサー”エッセイ連載 #06「やっぱりこれくらいはいると思うんです(婚活:年収二千万)」

ABEMA新オリジナルドラマ『30までにとうるさくて』と連動し、sweetWEBでは、ドラマの脚本協力を担当した大人気作家LiLyさんによる短期連載を掲載中。金曜日の夜21時は、ここでしか読めない素敵なエッセイに酔いしれて♡ あなたが誰にも言えずひとりで悩んでいたことのヒントが、見つかるかも。


『30までにと “自分の声が” うるさくて』

      by LiLy

#06
「やっぱりこれくらいはいると思うんです(婚活:年収二千万)」

 

 結婚相談所になけなしの40万円を支払って婚活をはじめた時、花音の「自分が欲しいと思う未来」は明確だった。
 秘書という仕事を続けてきて、誰かのサポート役に徹することが自分に向いているという確信もあった。
 相手の条件に「年収2000万円」をあげたとき、「高望み!」と思った視聴者も多いとは思うけれど、花音が理想とする生活に(都心で二人以上の子供に教育費をかけながら専業主婦として平穏に暮らすのに)必要なのはそのくらいだろうと私も思う。

 年収2000万円といっても、
 手取りは1200〜300万円。

 もし独身で、一人で自由に使える金額がそれなら「(独身)貴族」な生活を愉しめるけれど、都心で家族四〜五人で使う金額としては「セレブ」からはほど遠い。購入するマンションのレベルや子供にかかる教育費次第では、家計のやりくりだってマストになってくる金額だ。
 ―――といっても、「今の仕事が嫌で早く辞めたいし金持ちと結婚して早く育児がしたい」と公言するアラサー女子に世間はわりとヒンヤリした目線を向けるだろう。

 男女平等と言いながら、
 結局それなんですか? 
 と……。

 でもね、迷える29歳。
 何が欲しいかが分からずに
 モヤモヤと日々を過ごす人も多い中、
 花音の「ビジョンの明確さ」と
 「自腹の40万」まで含めた「行動力」に
 「人生に対する本気」を見て私は好感を持った。

 ただ、花音だってそこ(婚活スタート)に至るまでに時間(悩んで考えて)をたくさん使ったはずだ。
 30歳になることに対して焦る大きな理由の一つに、婚活市場では20代であることが30代よりも圧倒的に有利に働く事実をあげ、花音と詩が(そんなのって)「クソだよ!」とともに吠えるシーンがあるのだが、自分も相手側に条件を提示している以上、相手側にだって求める条件があるのは当たり前のこと。
 それこそ、もし2000万円の年収を第一条件として、相手の年齢は4、50代まで引き上げることができるならば、30歳になった花音でも(いいや、こんなにも聡明で可愛い花音なら)相手はいくらだって見つかるはずだ。
 が、もし花音側も、子供をともに作ることを考えて相手も30代が希望ということになってくると、「ならばあと5年は早く婚活スタートすべきだったかも⁉」という現実の壁にあたることが予想される。
 産む性である女性より約5〜10年ほど遅れて、男性は将来の子供のことを自分ごととして考えるようになる傾向がある(もちろん個人差あり)。そのようにして30代も半ばを過ぎた男性が出向いた婚活市場にて、子供が欲しいという理由から20代の女性を希望するのはある意味自然なことと思う。
 それを「クソ」だと思ってしまえば、花音のリアルなニーズだって「同じくクソ」ということになってしまうわけで……。
 一方、「20代の男性」に実施したアンケート調査によると、結婚相手に求める条件として第3位にランクインしたのが「年収」だそうだ。
 先日、YahooNewsにあがっていたその記事には、「男性が女性に高収入を求めるなんて……(ヒモ気質?)」などというコメントもついていたけれど、そういうことではないと思う……。
 同じくらいの年収を持ち寄って世帯年収を2 倍にすることで生活の質を1レベル上げる、という生き方は今ではむしろ「主流」と感じる。(地域差/学校差もあると思うが、子供たちを港区の公立の学校に通わせて12年経った私自身がまわりの家庭を見ていて感じたこと)。

 恋愛と結婚の違い:
 ペアを組むことで
 「生きていく上でのチーム」を
 強化できるかどうかが重要。

 婚活に限らずとも、凹凸がパズルのようにピタリとハマるようにして夫婦というものはペアリングされる。

 これは恋愛でも、そう。
 お似合いではないカップルなど、
 世界に1組たりともいない=私の持論である。
 「あの人に、あの人はもったいない」はあり得ない。
 磁石が引きあっているから現在進行形で付き合っている。
 レベルが異なっていれば自然なこととして別れはくるのだ。

 「いやいや、そんなことはない。あの子はメッチャ良い子なのに彼氏がクズで…」
 そんな声も聞こえてきそうだけど、第三者からは見えないところで二人のパズルがハマっているから一緒にいるってだけのこと。
 男を見る目がない、男運がないなどと嘆くヒトもいるけれど、「目」とか「運」とか以前に、まずは自分自身のパズルのカタチを修正するしかないと思う。

 それっくらい「相手=自分の鏡」。
 シビアなほどに自分自身を映し出す。

 「わかります。だから高望みはしない。
 普通でいいんです。普通の人でいいのに、
 なかなか出会えない。しまいには
 まだ高望みしていると言われる始末。
 私ってそんなにレベル低いのかな?」

 婚活ワールドは、
 このような声に満ちている。

 「とにかく切実。
 自分を見失うどころか、自信まで失う。
 どちらも見えなくなったらそりゃあ落ち込む。
 気づけば迷子。どうすればいいですか?」

 「普通が希望」という時点で最初から迷子。
 「明確」から最も遠いところからスタート
 していることにも気づかず迷路に入れば、
 誰だって迷宮入り。入り口からやり直し! 

 あなたが考える「普通」こそ、
 「個人差が最も強くでる幻想」なのだから。

 (たとえば、年収や身長などに
 平均値を割り出すことはできたとしても、
 「普通の性格」っていったいどんなだ!笑)

 もっと言えば「あなたにとっての“普通”ってどんな感じですか? 」を確かめ合う(一緒に家庭を作っていくにあたって、そもそもの価値観が一致するかどうか、しなかったとしても譲り合えそうかどうかを測り合う)のが婚活デートなのではないか!?  

 ―――と、ここで「婚活の条件を含めて自分のビジョンが明確で素晴らしい花音」にも「普通問題」は降りかかる(本人自覚なし)。
 「秘書という職業柄、リッチな社長の私生活を見せつけられてきた」と花音は語る。
 会食の予約をするレストランに、社長が取引先に渡すための手土産に……、知識はどんどん増えていき、高級なラインナップは日常と化して、仕事の一部でもあるため裕福層のライフスタイルの中に常に片足を突っ込んで生きてきた。
 「だからもう、それより下にはいきたくない」という花音のホンネが年収2000万円という数字を叩き出したのだろう。(もしそうなら、その額ではあの社長のようなセレブ生活は無理なのだけど……)。
 でも、仕事柄みてきたそれらの贅沢な世界は、あくまでも社長にとっての普通なのであって、花音にとっての普通は支払いに追われるアパートでの生活の方なのだ。が、煌びやかな世界の中に片足であったとしても足を突っ込み続けていると、やっぱりどこかで勘違いを引き起こしてしまうもの……。

 若い頃のその手の勘違いは、
 後々自分の首をキツく締める。

 これは秘書だけに限らない。「若くてそこそこ可愛い」というカードを持っている間は、高級レストランでの食事くらいならば、性別問わず、わりとイージーに入り込める。身体の関係は持っていないから、と自分に言い聞かせながらも、パパ活/ママ活一歩手前のギャラ飲み(またはタダ飯活動)にせいを出し、寿司やら肉やらの写真をインスタストーリーズに流して“何か”をアピールする若者は少なくない(いや、めっちゃいる)。

 その“何か”とは、コレだ▶︎
 「私の普通(日常)はこんな感じ!」

 その食事代金を自分で支払っていない以上、それこそが「己の生活レベルの勘違い」への巨大な第一歩。
 他人に「贅沢を日常的にする自分」を印象付けようとしているうちに、自分が(むしろ自分だけが)コロッと(自分に)騙されてしまうのだ。ちなみに、他人というのは冷静だ。自分で払っているかどうかなんてすぐにわかる。たったの1秒程度のストーリーズで見る人の印象に刻まれるのは、リッチなイメージどころか、その人の安っぽさだという皮肉……。
 でも、それだけなら、まだ良い。
 一番怖いのは、自分の中に浸透していった自分自身のリッチなイメージ(勘違い)は、そこから何年、何十年経ってもなかなか薄れていかないところなのだ。

 「若くて可愛い」という期間限定チケットで
 得たものを「自分の実力」にカウントするな。

 スマートに生きる、とはつまり、勘違いをしないということでもある。どんなときも冷静に、客観的に、自分のことを的確に見つめる目。たとえば、手堅い腰掛けキャバ嬢は、どんなに時給があがっても生活レベルを上げることなく、若さで稼いだ金はすべて、若さを失った時のための貯金にまわす。(学生時代に4年間、歌舞伎町や六本木でホステスのバイトをした。夜の女の子たちをたくさん見てきたが、裕福層とツルむことで自分もそうだという“勘違いをするかしないか”がその後の成功の鍵であったように思う)。

 身分不相応の勘違いで
 自分の「普通」を勝手に
 グレードアップするべからず。
 何故なら、それで一番困るのは
 他人ではなく「自分」だから!!

 花音は、どうやら恋をしている。そして、自分の将来のために考えに考えて、努力もして、やっと明確にした目的(理想的な条件の相手との結婚)が、どうやら目の前の恋の邪魔をしている……。
 最初は、理想ドンピシャの王子様(社長様)のように思っていた相手:高村には、中学生の娘がいて、つまりは奥様を亡くされた過去があって、それだけでも結婚相手の条件としては「ノー」だったところに、なんと高村は取締役から解任されて無職になってしまった。
 どんなに相手の人柄や信念に好感を抱いていたとしても、花音にはどうしても手に入れたい「結婚生活のイメージ」があるのだ。それを具体化するためにはやっぱりお金が必要で、その未来予想図の中には当然、大きな子供の姿など入ってはいなかった。

 花音は恋心をかなぐり捨てて、本来自分が抱いていた将来のビジョンの方へとギアを振り切った。だけど、花音はとても辛そうで……。
 花音の「普通」をいつの間にか変えてしまった前任の金持ち社長は、確かに豪華な生活をしていたかもしれないけれど、金のために自分と寝る愛人がいてくれて(?)果たして幸せなのだろうか。
 一方、花音が自分では認めたくないと思っていた方の「リアルな普通」は、支払いの郵便物が溜まるアパートの中で、一生懸命に自分の将来について考えまくってきた「時間の中に」こそある。そして、そっちの「本当の花音」のほうにこそ、等身大の魅力は溢れている。
 自分が欲しいものが明確で、つまりは聡明で、そのための努力だって惜しまない。婚活で失敗してもすぐに前を向く強さも、タイプの異なる友人たちに囲まれながらも「自分はこうだから」という冷静なジャッジありきのブレない軸も持っている。
 そんな花音だからこそ、人が良すぎて冷静なビジネスジャッジには欠けるところもあるが愛情深い高村と、それはもうとってもお似合いだと思うのだけど……。

 恋愛と結婚の違い:
 ペアを組むことで「チーム」を強化できるか否かが重要。
 でも「愛」こそが、
 チームをまとめる最重要要素でもあるから判断は難しい。

―――――――次回、ドラマもエッセイも最終回!
“お前何様だよ”って自分にツッコミを入れながらも
愛を持ってあえて厳しいことも沢山書いてきたけど、
ぜひ最後までお付き合いください。損はさせません! 

◆次回予告◆ 3/4更新
#06「 30までに! って色々悩んでた
私たちってなんなんだろ(笑)」


profile_LiLy
作家。81年生まれ。神奈川県出身。蠍座。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。著作多数。Instagram_@lilylilylilycom


◆「ABEMA」オリジナルシリーズ新作ドラマ

『 30までにとうるさくて 』番組概要


毎週 夜10時スタート(全8話)
企画・プロデュース:藤野良太
脚本:山田由梨
演出:金井紘
出演:さとうほなみ・山崎紘菜・佐藤玲・石橋菜津美

<あらすじ>
「30歳までに結婚しないと…って焦るけど、なんで?」「子供を産むなら年齢は気にした方が良い?」 「29歳、私たちこのままでいいのかな」など、“30歳”という節目の年齢を意識する女性ならきっと誰もが一度は感じたことがある悩みや焦り、怒りを抱えながらも、自分たちの意思で乗り越えていく姿を、ユーモラスかつ痛烈にオリジナルストーリーで描く、現代の東京を生き抜く29歳独身女性たちの恋、キャリア、性、友情の物語。


番組の視聴はこちらから♡

illustration_ekore(@igari_shinobu & @hello_chiharu)
edit_MEI SONE(SWEET WEB)
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