【This Month’s 4 Movies】
今月要チェックの映画を4本ご紹介! 写真を見てインスピレーションで選んでみてね。
『カード・カウンター』
かつて特殊作戦で犯した罪の贖罪をひたすら模索する凄腕ギャンブラーの復讐劇。
脚本も担当したポール・シュレイダー監督は、『タクシードライバー』(76)や『レイジング・ブル』(80)で名を馳せただけに、孤独、愛、怒り、憎悪に彩られた魂の彷徨を描きつつ、エンタメ風味もたっぷり。大ベテランの職人技を堪能できる。
また主人公を演じたオスカー・アイザックが放つ狂気と神秘、そして男の色気にクラクラ!
story:米国軍刑務所を出所したテル(O・アイザック)は、“小さく賭けて、小さく稼ぐ”ギャンブラーとして息をひそめるように生きている。が、彼の人生を一変させた男(W・デフォー)との再会を機に忘れようとしていた復讐心が駆り立てられていく。
監督:ポール・シュレイダー/出演:オスカー・アイザック、ウィレム・デフォー、ティファニー・ハディッシュ ほか/配給:トランスフォーマー/公開:6月16日より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
©2021 Focus Features. A Comcast Company.
『To Leslie トゥ・レスリー』
宝くじで当たった大金を酒で使い果たしたシングルマザーの人生再生物語。どん底に落ちた自覚はあっても、酒とは縁が切れない。
そんなダメダメなヒロインに少しだけ残る“ひたむきさ”をにじませて、気がつけば観る者に共感とエールを抱かせるアンドレア・ライズボローの演技が絶品。アカデミー賞主演女優賞候補も納得だ。
母親を捨てきれない息子を演じたオーウィン・ティーグの痛々しい佇まいも胸にグッと来る。
story:シングルマザーのレスリー(A・ライズボロー)は、宝くじの賞金を酒で使い果たした。6年後、行き場を失っても酒に溺れる彼女は息子(O・ティーグ)にも見放されるが、あるモーテルの従業員スウィーニー(M・マロン)が手を差し伸べて……。
監督:マイケル・モリス/出演:アンドレア・ライズボロー、オーウェン・ティーグ、アリソン・ジャネイ、マーク・マロン ほか/配給:KADOKAWA/公開:6月23日より、角川シネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
©2022 To Leslie Productions, Inc. All rights reserved.
『テノール! 人生はハーモニー』
一流オペラ教師に才能を見出されたその日暮らしのラッパー青年がまさかのオペラ修業。不協和音に見えた二人が、お互いの運命を変えていく爽やかでハートフルなヒューマンドラマ。
青年を演じるMB14は、大人気オーディション番組で勝ち上がったビートボクサーだが、その素晴らしいオペラ歌唱と美声は耳の保養に。
世界的テノール歌手ロベルト・アラーニャや、オペラ座のガルニエ宮大広間が華やか。
story:パリのオペラ座に出前でやってきた青年(MB14)がエリートレッスン生に見下され仕返しに歌ったオペラの歌真似がプロも驚く超美声。その才能に惚れ込んだオペラ教師マリー(M・ラロック)はバイト先に押しかけ猛スカウトし、内緒でレッスンを始める。
監督:クロード・ジディ・ジュニア/出演:ミシェル・ラロック、MB14、ロベルト・アラーニャ ほか/配給:ギャガ/公開:現在、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー中
©2021 FIRSTEP-DARKA MOVIES-STUDIOCANAL-C8 FILMS
『大いなる自由』
第二次世界大戦終戦後、ドイツ刑法により同性愛者が投獄されていた衝撃の事実。
繰り返し収監される同性愛者の主人公が、刑務所で何度も出会う終身刑の男と、愛情とも友情ともつかない奇妙な絆を結ぶ二十余年もの時間の旅。
最低限のセリフで、不条理な迫害を受け続けた者の顔をまざまざと見せる主人公役、F・ロゴフスキによる魂の表現が圧倒的。愛と自由について深く考えさせられる美しき傑作。
story:1945年、ハンス(F・ロゴフスキ)は同性愛を禁じる刑法により収監される。同房のヴィクトール(G・フリードリヒ)は同性愛者の彼を嫌悪するが、腕の番号から彼がナチスの強制収容所から移送されたことを知り、番号を新しい入れ墨で覆うことを提案する。
監督・脚本:セバスティアン・マイゼ/出演:フランツ・ロゴフスキ、ゲオルク・フリードリヒ、アントン・フォン・ルケ ほか/配給:Bunkamura/公開:7月7日より、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国順次ロードショー