――ぶんぶん振り回されていますよね。

北村「そう、バッド過ぎる毎日なんですよね。痛いとか苦しいとか、リアルな感情は捨てないようにしてました。だから、守が愛美と娘とシャボン玉吹いてるときとか『楽しい』って思えましたし、ファミレスのご飯っておいしいよね、とか。素直な感情を出していたんです。その後で、殴られたり突き飛ばされたりしたときに、限りなく彼が不憫に見えるんですよね」

河合「愛美はとにかく自分で決めることをしない人。愛美なりには選択をしてきたんでしょうけど、消極的な選び方だったんだと思います。被害者になりそうな状況だったら被害者になるし、裏切ることが楽そうだったら裏切る、というように、ずっと流されていってる人が、最後に唯一自分で動いたことが子どもを守ろうとすること。結局ぐちゃぐちゃになりますけど、あの瞬間だけは眼の前のことに立ち向かうために動こうとしますよね。彼女はこの物語の中で成長することはほとんどないんですが、この物語のあとで自分で人生を選んでいってくれたら嬉しいなと思いながら演じました」