西野七瀬

――今回はケアマネの役ですが、どのように役をリサーチされて挑まれました?

西野 そもそもなんですが、恥ずかしながらケアマネジャーっていうお仕事を知らなかったんです。ヘルパーさんのことは知っていたので、クライアントさんとヘルパーさんをつなぐお仕事なのかな、と思ってたんですが、そんな単純なことじゃなかった。調べれば調べるほど、こういう調整役がいないと、介護の現場は回らないのかなと実感しました。監督からは資料をたくさんいただいて、それを読むことから始めましたが、自発的にもいろいろと。特によく見ていたのは、ケアマネをされている方が発信されているYouTube動画。私が演じた下村は、美咲さんのご家庭の状況に臨機応変に対応したり、彼らとの距離感を絶妙にはかっているんですよね。ケアマネの実際のお仕事の内容も大変なものばかりですが、あらゆることの調整役としてどのように接していくのか、ということは、実際にお仕事をされている方の声をうかがうことで学んだんだと思っています。

――ケアマネって難しい仕事ですもんね。

西野 そうなんですよね。私が演じた下村、そして彼女が担当する美咲さんと佑くんのケースだけ切り取っても大変なことだと思いますが、それぞれ全く違うケースを担いますよね。でも、ケアマネさんは個人的にどう思っていてもそれをクライアントさんの前では出さないんです。暗黙のルールみたいなものだと思うんですが、ケアマネさん側からずけずけと入り込んでいくことはしない、というか、距離感の測り方がすごく独特。踏み込みすぎていないけど、クライアントさんとは密接につながっていて、信頼関係もある。この距離感が下村役の鍵になると思って演じていました。監督からもいろいろとご指示をいただいたんですが、その点で一番参考になったのは、難病を患った方とその息子さんとの関係をとらえたドキュメンタリーや、ケアマネを目指している方々のインタビューなど。どのような仕事なのか、またどのような動機でこの仕事を選ばれたのかにはすごく興味がわきました。

――裏方、調整役ですものね。西野さんご自身は調整がうまいほうだと思います?

西野 私ですか!? 調整役……ではないかもしれないです。

――ケアマネさんは本当にすごいですよね。特に美咲と佑の場合、佑が多感な年頃というのもあって……。

西野 高校生だと、やはり親との距離感は難しいものだと思います。私も中高生くらいのころ、親がちょっと心配性なところがあったので、ちょっとなにか言われると「もうやめてよ」みたいな感じでつっぱねてしまうこともありました。美咲と佑の関係とは全然違うんですが、この作品を見た方にも自身の家族との関係に目を向ける機会になればと思っています。

――そんな美咲を演じた菅野美穂さんからはどのような影響を受けましたか?

西野 ベッドで横たわってお芝居をされている菅野さんが、本当の患者さんにしか見えず、美咲さんを目の前にしてお芝居しているはずなのに、それを忘れてしまいそうになるほどその演技に引き込まれました。オフカメラのときは気さくにお話してくださって、緊張感をほぐしていただきました。

――そうした共演の皆さんとの積み重ねで、役にアプローチするヒントも得られました?

西野 ありました、というかそれがなかったらつかめなかったと思います。一度私が思うように演じてみて、監督にどうですかとうかがってシーンの芝居を決めていったんですが、一人で考え込んでも解決策は出ないものなんですよね。現場で監督が考えていることや、共演の皆さんとの距離や関係性など全てがそろったところで、役ができていくんだと思うんです。今回の場合は、美咲さんと佑くんがいることで、ケアマネとしての下村という存在が生まれたんだと思います。