今月は、『ハリー・ポッター』の魔法使いヴォルデモート卿役でおなじみ、レイフ・ファインズに突撃インタビュー!
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Ralph Fiennes(レイフ・ファインズ)
1962年12月22日、イングランド・サフォーク生まれ。王立演劇学校で学び、ロイヤル・シェークスピア・カンパニーに参加。92年に『嵐が丘』で映画主演デビュー。以後、『シンドラーのリスト』(93)、『イングリッシュ・ペイシェント』(96)、『ナイロビの蜂』(05)など多くの秀作に出演し、『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)では各国の映画賞で主演男優賞候補に。また、『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモート卿、『007スカイフォール』(12)と『007 スペクター』(15)ではM役を演じた。本作は、『英雄の証明』(11)、『エレン・ターナン〜ディケンズに愛された女』(13)に続く、監督第3作目となる。
監督に俳優に大忙し
大ヒット作『ハリー・ポッター』シリーズで、闇の魔法使いヴォルデモートを演じたことで知られるレイフ・ファインズ。彼が監督した『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』は、タイトル通り、今も“伝説のダンサー”として歴史に名を刻むルドルフ・ヌレエフが主人公。といっても、単なる伝記映画ではなく、冷戦時代のソ連で亡命を決意した瞬間に焦点を当てて、サスペンスフルな青春物語に仕上げているのが面白い!
「最初から、彼の人生をずらずらと描くことには興味がなかった。大きな決断をした青年時代にこそ、私が映画化したいと突き動かされた動機があった。パリの空港で迎えるクライマックス。亡命か、帰国か?秒刻み、分刻みで緊張感が高まっていく。これぞ映画的!だと思った。そして、この映画のテーマである“自己実現”の象徴だとも。ヌレエフは政治的なイデオロギーで亡命したわけじゃない。ひたすら自由に踊りたいと願い、その実現に向けて走っただけ。その決意の強さに胸打たれたよ」
ヌレエフが自己表現のために、世界中の文学や美術から多大なインスピレーションを受けていたことも細かく描写。
「ヌレエフは熱心な絵画ファンで、読書家でもあった。僕もアーティストの端くれとして、すごく共感する。他のジャンルのアートから色んなものを貪欲に吸収して、それらを魂にため込んで、独自の世界を表現していく。僕は、そういう姿勢が大・大・大好きなんだよ(笑)」
ヌレエフが17歳から学んだレニングラード(現サンクトペテルブルク)のバレエ学校の内部やその街並み、海外公演で訪れた美術館や絵画など、背景やディテールに見られる徹底した本物志向はお見事。もちろん、ヌレエフを演じて映画デビューを果たしたダンサー、オレグ・イヴェンコの力強く流麗なダンスにも圧倒される。
「彼のダンスがうまいのは言うまでもない。それに加えて、オレグは映画的な演技ができていた。そして、なんといっても“そこにいる”確固たる存在感に魅了された。初めての映画経験を通して俳優として成長していく姿を間近で見られたことは、僕にとっても幸せだった。この映画はヌレフという青年とオレグの成長がシンクロしている青春物語だと、完成した今では思っている」
監督を務めた一方、劇中では実在したバレエ教師アレクサンドル・プーシキンも演じたレイフ。今後の予定は?
「この作品を撮るためにロシア語とロシア文化を猛勉強した。その後にもシェークスピアの舞台『アントニーとクレオパトラ』に主演。ずっと勉強ばかりで肩が凝ったから、ちょっと気分転換。次の出演作『キングスマン3』(原題)は、リフレッシュには最適だったよ。1900年初頭のスパイの役だから、剣で戦ったり、崖を飛び降りたり。今、僕の中にいる“小さな少年”がとても喜んでいるよ」
『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
Story:東西冷戦のまっただなか、ヌレエフ(O・イヴェンコ)はレニングラードのバレエ学校に入学。教師プーシキン(R・ファインズ)の指導を受けて実力をつけていった。だが、集団行動を重んじるソ連では自由に踊ることができないと痛感し、亡命を決意する。
監督・出演:レイフ・ファインズ
出演:オレグ・イヴェンコ、セルゲイ・ポルーニン ほか
配給:キノフィルムズ
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