命を救いたくて始めたのに命の終わりを決断する憂苦

紗栄子とお馬さん
ブラックワンピース ※参考商品(CO/EASTLAND)、ピアス ¥49,500(スワロフスキー・ジュエリー/スワロフスキー・ジャパン)、シューズはスタイリスト私物

ー保護馬活動をする中で、もしも辛いことがあるとしたら?

「それはやっぱりただひとつ、お別れしなきゃいけないことです。自然の流れに任せるような老衰だったらまだ気持ちの整理がつきやすいかもしれませんが、お馬さんはほとんどがそうじゃなくて。生きるためにあらゆる治療や対策を試みて、もう無理だね、頑張ったね、という局面を迎えたら、私が安楽殺の決断をしなければならないこともあります。そして、獣医師にその旨を伝えます。

命を救いたくて始めた取り組みなのに、命の灯火を自らが消してしまうんですから。何度体験しても慣れることは決してないし、正直、本当にしんどいです。スタッフにはどんなことも共有していますが、この重く辛く張り裂けるような気持ちだけは、私の中だけに留めておかないといけないと思っています。もうね、とてもじゃないけど、代わりにはさせられないです」


ー保護馬活動をしているうえでは、どうしても避けられないこと。

「ですね。死と向き合うことも含めてずっと続けていく、という覚悟を持って始めたことなので、頭で理解はしているんですけど。せめて、最後に過ごしたところは温かだったな、と思ってもらえるようにお見送りしたいです。たぶんスタッフ全員が同じ気持ちなはずです。

正直、うちみたいな受け入れ先がないと、歩けるうちに処理しやすい場所に連れて行かれて、薬殺されて、重機で運ばれる、みたいな殺処分の連鎖は止まらないまま。誰かが行動しないと、状況は何も変わらないんです。後悔は
つきもので、正解を模索するような毎日。それでも私は、どんなときも優しさで支えてくれる仲間達と一緒に、恐れることなく前に進むのみです」