Haley Bennett
ヘイリー・ベネット
■プロフィール
1988年1月7日、フロリダ生まれ。07年の『ラブソングができるまで』で映画デビュー。本作の監督ジョー・ライトは私生活のパートナー。
日本でも宝塚歌劇団をはじめとする劇団によって何度も舞台化され、タイトルだけでも超有名な戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』。これ、じつは1897年から愛され続ける不朽の名作で、パンデミック前のブロードウェイではエリカ・シュミットによる新演出版ミュージカル『シラノ』が大ヒット。そのバージョンをラブロマンス映画の名手ジョー・ライトが映画化したのが本作。ヒロインのロクサーヌを演じたヘイリー・ベネットに話を聞いちゃいました。
「私とシラノ役のピーター・ディンクレイジは、ブロードウェイの舞台でも同じ役を演じたんだけど、映画となると全く違った経験だったわ。アップのカメラがあるし、スタッフはたくさんいるし、おまけにコロナ禍の撮影だから色んなことに気を遣わないといけないし。でも、舞台版よりもエモーショナルで、これまでこの作品を観たことがなかった人に、すごく感情移入しやすくなったと思う」
ロクサーヌは親友のシラノが自分に恋していることに気づかず、彼の同僚の兵士クリスチャンとフォーリンラブ。シラノは最愛のロクサーヌのため、と持ち前の文才で、文章を書けないクリスチャンのラブレターを代筆する、というお話。「愛のために謙虚でいることって、今の世の中にこそ必要なこと」とヘイリー。
「ド直球のロマンス物語を、恋の歌たっぷりのミュージカルにしたことに意味があるのよね。辛辣なモノが好まれる現代には甘過ぎるストーリーかもしれないけど、世界中が不安に陥っているときだからこそ、これくらいストレートに心に訴えかける作品は必要だと思うの」
ネタバレは伏せるけど、ほとんどのシーンで彼女はどアップ。おまけに歌いながら泣いたり笑ったり、感情的な表現がたくさん。
「それね……。映画版で一番大変なのはそこなのよ」とポツリ。
「舞台だと稽古したとおりの芝居、プラスその場の感情を込めて演じればいいんだけど、映画だとそれだけじゃダメ。だって、スクリーンにどアップになるんだもの。その点、ジョー(・ライト監督)には大感謝よ。だって、もっとも感情が高ぶる難しいシーンを、台本どおりの順番で撮影してくれたから。そうしてくれなかったら、きっとNGを出しまくってたわね(笑)」
本作はロクサーヌの衣装にも目が釘づけ。なんせ冒頭シーンはロクサーヌのワードローブでのミュージカルで、マカロンカラーのドレスにまみれて歌い踊るシーンなんですよ!
「ロクサーヌはお嬢様だから、ワードローブのバリエーションがすごいのよ。ヴィヴィアン・ウエストウッドやジョン・ガリアーノ、アレキサンダー・マックイーンなどの現代的なテイストも入れるために、衣装デザイナーが苦心して作ったカスタムドレスばかりなのよ。気分上がるわ~」
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『シラノ』
story:17世紀フランス。詩人で剣豪の騎士シラノ(P・ディンクレイジ)は、愛しのロクサーヌ(H・ベネット)に思いを伝えることができずにいた。だがロクサーヌは、シラノの同僚に惹かれ、それを知った彼は愛する人の願いを叶えるために、恋の仲立ちをすることに……。
監督:ジョー・ライト/出演:ピーター・ディンクレイジ、ヘイリー・ベネット、ケルヴィン・ハリソン・Jr. ほか/配給:東宝東和/公開:2月25日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
■ライター プロフィール
よしひろまさみち
『スウィート』のカルチャーページでもおなじみの映画ライター・編集者。日本テレビ系『スッキリ』ではレギュラーで映画紹介を務める。