今回は、長編デビュー作『Girl/ガール』が昨年のカンヌ国際映画祭の3部門で受賞という快挙を成し遂げた、若きイケメン映画監督、ルーカス・ドンに突撃インタビュー!
Lukas Dhont(ルーカス・ドン)
1991年6月11日、ベルギー、ヘント生まれ。映画好きの母親の影響でフィルムメーカーを目指し、KASKスクールオブアーツに入学。在学中に製作した短編『CORPSPERDU』(12)で注目され、14年製作の『SKIN OF GLASS』もアカデミー賞短編映画部門の選考対象作となった。初の長編監督作となった本作で第71回カンヌ国際映画祭でカメラドール、ある視点部門最優秀演技賞、国際批評家連盟賞を受賞し、第76回ゴールデングローブ賞の外国語映画賞候補にもなった。
ベルギーから俊才イケメンきたー!
昨年のカンヌ国際映画祭で『Girl/ガール』を発表し、見事カメラドール(新人監督賞)の他3部門で受賞した28歳の新星ルーカス・ドン。彼の長編デビューとなる本作では、からだは男性で心は女性のトランスジェンダーの少女ララが、バレリーナになる夢に突き進む姿をエモーショナルに描き、観る者の感性を直撃する。
「きっかけは18歳のころに新聞で読んだ記事。バレリーナになるために頑張っている少女がいることに心を動かされた。そのときに、“これを絶対に映画にしたい!”と思ったけど、撮る自信を培うのに時間が必要だった。その間に彼女本人に会って話を聞いて、映画化の許可をもらってはいたんだ」
約8年以上も映画化を熱望した、この女性の魅力は?
「15歳にして“本当の自分自身でいること”を選んで生きていく覚悟と苦悩を描きたかった。その戦いは普遍的なものだと確信したしね。僕自身も10代、周りが押しつけてきたり、勝手に抱いているイメージに合わせなきゃいけないと頑張ったこともあったから。そういう時期は、誰にでもある。だからこのキャラクターを通して、そういった模索を描くと決心したんだ」
美しい少女の輝きを放つ男優。しかもハイレベルのダンスが踊れて繊細な演技もできる。ヒロインを演じたビクトール・ポルスターなくして本作の成功はなかったのでは。
「結局、500人近くの若者と会った。ビクトールはダンス学校の同級生がオーディションを受けに来たときに、つき添いで来ていたんだ。でも、姿を現した瞬間から彼は天使のようで、磁石のように人の目も心も惹きつける存在だった。みんなと一緒にいるけど、彼の周りだけ聖なるものが漂っているようだった」
寡黙なララが踊る、シャワーを浴びる、微笑む、眉根を寄せる……。そんな瞬間を繊細に切り取りながら、彼女の心のうねりを浮き彫りにしていく。“第2のグザヴィエ・ドラン”と称されるのも納得!
「若くて、自作の物語を撮るフィルムメーカーという点では、彼と並べられるのは理解できる。興味を持つテーマが似ている点もあるし。自分の肉体、自分と他者の肉体の関係性に興味があって、それが僕が作る映画の中心になっている。だから小さいころは肉体的な部分を扱った作品や、変身をテーマにした作品に興味があって、デヴィッド・クローネンバーグ監督の作品とかに惹かれたんだ」
今後も肉体に関する“永遠のテーマ”を掘り下げつつ、違った外見の作品を生み出したいと言うドン。そのみずみずしい感性が炸裂した監督第2作も期待できる。でも、超イケメンだからねぇ。俳優としての登場もありだと思うが?
「演技はすごくヘタなんだ(笑)。最初からカメラの後ろに立つことしか考えたことないしね。う〜ん、大好きなジョン・グレイザー監督とか(ジャン=ピエール&リュック・)ダルデンヌ兄弟監督から出演依頼でも来たら、出るかもしれないけど」
『Girl/ガール』
Story:少女ララ(V・ポルスター)は、男性のからだで生まれてきたトランスジェンダーだが、15歳で「自分は女性」と確信。バレリーナになる夢を実現するために、血のにじむような努力をするが、思春期の肉体的な変化が彼女の心を追い詰めていく。
監督:ルーカス・ドン
出演:ヴィクトール・ポルスター、アリエ・ワルトアルテ ほか
配給:クロック ワークス、STAR CHANNEL MOVIES