また、作中で言及もされているように、想像する双子は美しい少年のふたり。その美しさもこの作品にとってキーになっています。その双子を中心に、この本には、起こった出来事だけが記され、ふたりの感情や行動の動機などが一切書かれていません。読み手に想像させるからこそ、よりツライと感じる人もいるかと思います。

なんだか、世の中ってこんなに不条理なのか、と思わされる箇所も多いですが、その残酷さと双子のある種のピュアさが、アンバランスなような、バランスがとれているような、えも言われぬ魅力を醸し出します。

どのシーンも衝撃的で印象に残ります。登場人物も利己的な人間ばかりで、幼い双子にも代償を求めてくるような大人達がたくさん存在する世界ですが、戦時中という背景がそうさせているのかな、と諦めに近い感情を抱かざるをえない部分もあります。

気になるのは、この双子がその環境下だから変わっていったのか、それとももともとそういうものが備わっていたのか。悲しく思っているのか、怒りを覚えることはあるのか。実際に何を考えているのかさっぱりわからない怖さ(?)や不気味さのようなものが最後まで続きますが、そこがまた面白い。今回の撮影でも、淡々とした佇まいや表情で、感情が分からないといいなと思いながら表現しました。